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シニア必見!暴落に負けない守りの運用術―楽しく増やす!「北澤式」資産運用術【32】

第5部 50歳からの安心運用術 ⑥ シニア必見!暴落に負けない守りの運用術

シニア世代の資産運用で大切なのは攻めと守りのバランスだ。やみくもに資産を増やそうとするのではなく、市場環境が悪化したときでもできるだけ大事な老後資金を減らさないような、リスク管理と工夫が求められる。株式相場の暴落にはどんな備えをすればいいか、投資信託を使った守りの資産運用術を考えてみた。

■分散効果、コロナショックで再確認

この連載で何度も述べてきたように、運用における最も効果的なリスク管理の方法は資産の分散だ。独立系運用アドバイザーの吉井崇裕氏は「昨春のコロナショックで、十分に資産を分散したポートフォリオはショックに強く、回復力もあることが改めて確認できた」と話す。国内外の株式を中心にすえてリターンを稼ぎ、株式と相関の低い資産を組み合わせて全体のリスクを抑制する、というのがポートフォリオの基本型だ。

本来ならば株式の相手役は日米の国債などの債券が務めるところだが、足元では超低金利で利子収入があまり見込めないうえ、価格上昇(金利低下)の余地も限られそうで、今は債券を下手に組み入れると運用の足を引っ張られる恐れがある。債券の代役は資産市場が動揺したときに活躍しそうな金(ゴールド)や、元本保証の個人向け国債(10年変動型)、利回りが少し有利なネット銀行の定期預金などだ。昨年大きく売られた国内外の不動産投信(REIT)や低リスクのヘッジファンド型投信なども候補になる。

稼ぎ頭を期待する株式についても、米国をはじめとする先進国、中国を中心とした新興国、そして日本という地域の分散が欠かせない。

資産を分散したポートフォリオであっても、市場でショックが発生したときには程度の差こそあれ、ダメージは受ける。一時的な株価下落に狼狽し、慌てて投信を売るのは得策ではないが、本当に相場の流れが一変してしまうような大ショックが起きたと判断したら、運用期間が限られるシニア層は手を打った方がよい。損失の拡大を食い止めるには、一時的に株式などリスク資産の組み入れ比率を落とし、守りを固めるのが最も手っ取り早い方法だ。

ただし株式相場の急落局面は投信を安く仕込むチャンスなので、指をくわえて眺めているのももったいない。株式ファンドなどを売却した資金を使い、基準価額が下がったところでは数度に分けて少しずつ株式ファンドを買い直す「買い下がり投資法」を実践してほしい(連載第25回参照)。

■暴落対策の「掛け捨て保険」

今の市場で想定される大きなショックとは何だろう。足元の株高をもたらしているのは米国をはじめとする世界の中央銀行の大規模緩和で、市場がこの株高の構図に変化の兆しを嗅ぎ取ったとき、世界にあふれる緩和マネーは逆回転を始める恐れがある。しばらくは米連邦準備理事会(FRB)の動きに細心の注意を払っておくべきだ。

ついでに言うと、米国の大規模な金融緩和と財政出動によって、当面は緩やかなドル安基調が続くという見方が市場の大勢になっている。長期の運用ではドル安・円高の局面は海外資産を安く買う好機になるが、リスク許容度が低いシニア層などなら為替変動のリスクは避けた方が無難だ。これから外国株投信などを買うなら、「為替ヘッジあり」のファンドを選ぶことを勧めたい。

昨春のコロナショックのような株式相場の暴落に対しては、株価が下がると基準価額が急上昇するヘッジファンド型投信で備えるという方法もある。具体的には、米S&P500種株価指数の先物が投資対象の「テトラ・エクイティ」(現在は販売停止中)や、VIX短期先物指数を売買する「楽天ボラティリティ・ファンド(資産成長型)」などだ。両ファンドはコロナショックのときにS&P500先物の売り建て、VIX先物の買い建てで大きな利益を上げ、基準価額は短期間に5割近く上昇した。

これらのファンドは市場が平穏なときにはほとんど動きを止めるか、じりじりと基準価額が下落する傾向があるので、買うならあくまで暴落に備えた「掛け捨て保険」と割り切った方がいい。組み入れ比率はせいぜいポートフォリオの5%程度がいいところだろう。また、コロナショック後には同じようなタイプの投信の設定が相次いだが、新顔は運用実績をみてから買うかどうかを決めるのが原則だ。

■経験で身に付くリスクとの付き合い方

いろいろ考えるのは面倒だという人なら、低リスクのバランス型投信を1本買い、後は何もしないで放っておくという手もありだ。対象は市場環境に応じて資産の組み入れ比率を変える資産配分変動型で、コロナショック時の下落率が限定的で、その後の相場の戻りにしっかり追随できたファンドを選びたい。具体的には、年率リターンが3~4%のファンドなら「投資のソムリエ」や「ピクテ・マルチアセット・アロケーション・ファンド」、とにかくリスクは嫌いだというなら年率標準偏差が1~2%の「日米4資産スマートバランス」や「リスク抑制世界8資産バランスファンド」などが候補になる。

もちろんこれらのファンドでも、市場が激震に見舞われた場合は相応の打撃を覚悟しなければならないが、株式ファンドや一般的なバランス型に比べれば損失は限られるはずだ。半面、市場環境がよくてもリスクが低い分だけリターンも小さくなるため、持ち続けているうちに物足りなさを感じる可能性がある。そんなときはリターンの上乗せを狙って実績のある株式ファンドなどを追加で保有すればいい。

シニア世代の資産運用は投資期間やリスク許容度などの制約があり、資産形成層などと比べて難易度が高い。それでも、ちょっとした工夫や割り切りによってある程度のリスクはコントロールできる。何より長く続けているとリスクとの付き合い方は自ずと身に付くので、着実に経験値を積み上げていくのが大切だ。資産運用はあくまで豊かな老後を実現するための手段。心に余裕を持って、じっくりと、できれば楽しみながら取り組んでほしい。(QUICK Money World=北澤千秋)

◇本コラムは今回で終わります。お読みいただきましたことにお礼を申し上げるとともに、皆さまが資産運用で成功されることを心よりお祈りいたします(筆者)。

著者名

QUICK Money World 北澤 千秋


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