【NQNニューヨーク=横内理恵】今週(25~29日)の米株式相場は上値の重い展開か。米主要企業の決算発表が佳境を迎えるなか、業績期待が相場を支える。ただ、最高値圏で利益確定売りが出やすく、上値を抑えそうだ。米連邦準備理事会(FRB)は26~27日に開く米連邦公開市場委員会(FOMC)で金融政策の現状維持を決める見通し。市場の関心は会合後のパウエル議長の会見に向かう。
前週のダウ工業株30種平均は2週ぶりに上昇し、週間では182ドル高となった。決算期を控える主力ハイテク株に買いが集まった。バイデン新政権の追加経済対策や新型コロナウイルス感染防止策などへの期待も買い安心感につながった。
■注目決算
今週は26日にソフトウエアのマイクロソフトと半導体のアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)、27日にスマートフォンのアップルや交流サイトのフェイスブック、電気自動車(EV)のテスラとハイテク大手の決算が相次ぐ。高い成長力からコロナ禍でも業績を伸ばしてきた企業が多く、市場予想を上回るとの期待が大きい。
もっとも主要株価指数は高値更新を続けており、米株式相場の過熱感や割高感は強まっている。決算の内容や見通しが市場の期待に届かない場合には利益確定の売りが膨らむ可能性が高い。
最近の株高の背景にあった大型の経済対策の早期実現期待が継続するかも投資家心理を左右する。バイデン米大統領は1.9兆ドル規模の対策を提案しているが野党・共和党だけでなく、与党・民主党の一部にも対策の規模や中身を疑問視する声がある。民主党指導部は2月の審議開始を目指していると伝わっているが、早期成立が難しいとの見方がある。
■金融政策を占う
FRBはFOMCで現行のゼロ金利政策と量的金融緩和の継続を決め、声明では政策金利と資産購入策のフォワード・ガイダンス(指針)を維持するとみられる。市場の関心はパウエル議長が会合後の会見で米景気や今後の金融政策にどのような見解を示すかに集まる。年明け以降、財政支出拡大や景気回復を織り込んで米長期金利の水準が切り上がっており、市場の一部では量的緩和の縮小時期が早まるとの思惑もある。
議長は14日に出席した討論会で「今は量的緩和縮小を議論する時ではない」と述べていた。緩和継続に前向きな発言は「市場寄り」と好感される。半面、想定以上に米景気の先行きに慎重だったり、インフレや資産価格の上昇への警戒感を打ち出したりするようなら、市場心理を冷やす可能性がある。
28日には10~12月期の米実質国内総生産(GDP)速報値の発表がある。市場予想は前期比年率4.6%増だが、新型コロナ感染拡大もあって下振れするとの予想もある。目先の景気懸念が強まれば、年後半の米経済の正常化を織り込んで買われてきた景気敏感株などへの利益確定売りが強まる一因となりそうだ。