国内公募の追加型株式投資信託(上場投資信託=ETFを除く)で、1月末時点の純資産総額(残高)首位は年1回決算型の「グローバル・プロスペクティブ・ファンド<愛称:イノベーティブ・フューチャー>」(9795億円)だった。昨年末まで1位の「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)」(グロイン)は2位に後退。月末ベースで毎月分配型の首位陥落は、約19年ぶりとなる。歴代の残高トップを一覧にまとめた(図参照)。
■野村の「1兆円ファンド」、2000年に登場
月末ベースの投信残高ランキングを振り返ると、毎月分配型ではないファンドが1位になるのは、年2回決算型の「ノムラ日本株戦略ファンド<愛称:Big Project-N>」以来のこと。野村アセットマネジメントが2000年2月に設定し、国内初の「1兆円ファンド」と話題を集めた。01年12月までおよそ2年にわたり首位を維持したが、IT(情報技術)バブル崩壊などで運用成績が上がらず、徐々に資金が流出。足元の残高は500億円ほどだ。
■「グロソブ」で毎月分配型ブームに
02年1月から入れ替わりでトップに立ったのが、「グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)」(グロソブ)。年金代わりに毎月分配金が受け取れるとしてシニア層を中心に支持を広げ、毎月分配型ブームの先駆けとなった。ピーク時の08年夏には残高が5兆7000億円を超え、12年3カ月もの間トップを独走した。08年秋ごろからは分配金の減額とともに資金流出が続き、足元の残高は3000億円台まで減少している。
■ハイイールド債・REIT型が台頭
14年4月に「グロソブ」を抜き首位になったのが、米ドル建てのハイイールド債(低格付け債)に投資するフィデリティ投信の「フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド」。そこから約5年間はハイイールド債や米国の不動産投資信託(REIT)で運用し、高い分配金を支払う複数のファンドに人気が集中した。しかし、16年秋以降の分配金減額をきっかけに軒並み資金が流出。金融庁から「長期の資産形成に不向き」と指摘され、金融機関が積極的に販売しなくなったことなども影響した。
■「公益株」から「成長株」へ
19年4月に首位に立ったのがピクテ投信投資顧問の「グロイン」。毎月分配型で、世界の高配当利回りの公益株に投資する。コロナショック以降は運用が振るわず、昨年秋ごろから資金流出に転じた。分配金の支払いも残高減少要因になるため、分配金を払い出さずに運用するタイプのほうが残高を積み上げやすい。
今回1位に浮上した「イノベーティブ・フューチャー」は、世界の株式のうち劇的な生産性向上など「破壊的イノベーション」を起こしうるビジネスを対象に投資する。19年6月の設定から分配金の支払い実績はなく、運用益の増加と資金流入を背景に残高を積み上げてきた。1月末の残高上位には同じように海外の成長株に投資し、年決算回数が少ないタイプが目立つ。
長期投資と言っても、流行り廃りは存在するようです。残高が大きいから良いファンドということではない。成績出してナンボの世界ではあるが、10年後に残ってるファンドが果たしてあるだろうか?販売サイド主導で乗り換え案件になるのでしょう、と予測してみる。