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経済対策でインフレ懸念? 市場はそれほど心配してない

記事公開日 2021/2/19 10:00 最終更新日 2021/7/13 14:48 米国債 FOMC インフレ 物価 米金利 経済対策 FRB QUICK Market Eyes

インフレ_Calculator with the word inflation, illustration.

【QUICK Market Eyes 片平 正二、川口 究、QUICK Market Eyes 池谷 信久】米長期金利が上昇基調を強めている。物価指数の上昇など、インフレ懸念を反映しているとされる。そもそも物価が上昇しはじめたのは、新型コロナウイルスで落ち込んだ需要が回復した反面、供給が追い付いていない事情がある。また原油価格が再び戻り歩調に戻ったことも将来の期待インフレ率を押し上げる。この状況で米国はバイデン政権が追加の経済対策に踏み切る。規模が大きく米債券市場では金利上昇要因が新たに加わるとの見方がある一方、債券ストラテジストなどからは冷静な指摘も聞かれ始めた。

■米追加の経済対策、急激なインフレにつながるリスクは懸念していない=ゴールドマン

ゴールドマン・サックスは17日付リポートで、「すでに回復しつつある経済に加えて大幅な追加的財政刺激策が、潜在GDP(国内総生産)を上回る需要を押し上げ、インフレの急激な上昇につながる可能性があるとの懸念が最近提起されたが、我々はこのリスクについてあまり懸念していない」と指摘した。

理由としては、まず、1兆5000億ドルの第5段階財政パッケージやインフラ法案が年内に成立すれば、GDPは潜在成長率に近い水準に押し上げられると予想されるが、こうした措置による過熱のリスクは、支出の大半が単発的なものであることから限定的であり、経済が予想以上に急速に回復すれば、失業給付金などの一部の項目が縮小すると考えられる。次に、新型コロナウイルスの感染拡大の間に急激に増加し蓄積された「超過」家計貯蓄は、構成と分配を考慮すると、再開後の最初の年に消費されるのはわずか約20%にとどまると予想される。最後に、多くの主要な先進国経済における現在のスラックの量の推定値は控えめであり、「継続的な拡大政策による過熱のリスクが少ないことを示唆している」という。特に、生産ギャップは、米国と英国の平均公式推定値より3~4パーセントポイント大きく、フランス、イタリア、スペインでは5~6パーセントポイント大きいと考えられると指摘した。

米10年債

■追加経済対策が1兆ドル+αなら米債買い戻しの口実に=三菱モルガン証

バイデン大統領の追加経済対策に伴う米長期金利の上昇が警戒される中、三菱UFJモルガン・スタンレー証券は18日付のリポートで「最低賃金引上げに反対を表明している民主党の一部上院議員が翻意しないと540億ドル規模(米議会予算局・CBO試算)の政策対応が抜け落ちるなど、1兆9000億ドルの満額回答は難しいように思う」と指摘した。リポートでは1兆9000億ドルで実現すれば10年金利は1.4%乗せを覚悟する必要があると思うとしつつ、「1兆ドル+αなら想定より大きくなかった、との見立てから米債買い戻しの口実に。1.3%を天井に1.2%程度での推移が続くが当方のシナリオだ」とし、米長期金利の上昇がいずれ一服するとみていた。

その一方で、国債増発が必要になった際、国債を引き受けるのは誰なのかとの疑問には、「今は米連邦準備理事会(FRB)が主たる買い手であることは明白だ。今後も買い入れペースを維持してはくれるだろうが、FRBが国債増発に対応して買い入れを今以上に増やしてくれるとの期待は捨てた方が良い」と指摘。FRBのほか、外国人投資家による安定消化は望めそうにないとしつつ、「20年4~6月期(2Q)にはMMFによる短期債購入が急増していたので、今回も流動性を求める資金が次の行き場を探す間、MMFに滞留することもあり得よう。連邦政府が短期債を発行することで(自転車操業的ではあるが)バイデン政権の財政支援策の資金繰りをすることになろうから、銀行経由、あるいはMMF経由の資金がひとまず需給安定化に資する展開が見込まれる」とし、需給的な金利上昇圧力は限定的とみていた。

■Fedは淡々と資産を買い入れるが、需給不安は続く=JPモルガン証券

米連邦準備理事会(FRB)が17日に公表した1月開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨では、米景気回復について「FRBの目標とする水準にはほど遠い」との認識で一致していた。「早期テーパリング」も「年限長期化」も否定されており、JPモルガン証券の山脇貴史氏は「当面は淡々と資産買入が続くことが示唆された」と評価した。ただ、足元では10年金利が1.3%にまで上昇しているため、「今後は長期金利上昇に対するFed高官発言に注目が集まりそうだ」と述べている。

いくら議事要旨で資産買入を当面維持するとの見方が示されたとは言え、テーパリングに関する懸念は当面続く。また、17日の20年債入札結果が「市場水準から2.4bp流れ、入札開始の昨年5月以来最も弱い入札となった」ことを踏まえ「超長期債への需給不安も継続しそうだ」とも述べている。

 超長期債の発行額は「2020年2月(30年債$19bn)→2021年2月(20年債$27bn+30年債$27bn)」へ急増しており、「ボディーブローのように着実に効いて来ている可能性がある」ためだ。追加財政議論が燻り続け、「超長期金利が大きく反転低下する可能性は低い」とみていた。

著者名

QUICK Market Eyes 川口 究

著者名

QUICK Market Eyes 片平 正二

著者名

QUICK Market Eyes 池谷 信久


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