東京証券取引所が今年4月に実施する市場区分の再編で、最上位のプライム市場に上場する企業は1841社になった。流通株式の時価総額100億円など移行基準を達成できないが、改善計画書の提出で移行が認められた企業は、このうち296社ある。現在の東証1部企業でスタンダード市場を選択した企業は343社だった。
QUICKが7日に発表した月次調査・株式で市場再編をどう評価するかを聞いたところ、5割超が「投資家から見れば実質的には何も変わらない」と回答した。次いで「プライム市場に基準未適合企業が上場し、かえってわかりにくくなる」が23%だった。投資しやすくなる、東証の国際化に寄与するなど、前向きの評価は20%にとどまった。
寄せられたコメントでは「さらに酷いものになった印象」(証券会社)や「中途半端になってしまった印象」(その他)など厳しいものが目立つ。「市場改革はまだ始まったばかりで、内外投資家の評価を高めるには更なる改革の進展が待たれる」(投信投資顧問)と、今後に期待する意見もあった。
プライム市場に上場する企業は何社くらいが適当か質問したところ、「500社程度(全株式の時価総額2000億円以上)」との回答が50%ともっとも多い。300社程度(同4000億円以上)との回答も21%あった。東証は流通株式の時価総額で100億円を基準として打ち出したが、最上位市場に上場できる企業を、さらに絞り込むことが期待されている。市場再編が株価に与える影響については、「ニュートラル」が66%と最も多かった。
今回の市場再編の目的は「日本企業の中長期的な企業価値の向上」と「世界から投資マネーを集める」というものだ。目標達成に有効かを聞いたところ、「あまり有効ではない」(39%)と「まったく有効ではない」(32%)と否定的な評価が約7割を占めた。「多少有効」は28%、「大いに有効」は1%に留まっている。
調査では、2022年の世界の株式相場の行方についても聞いた。回答者が最もパフォーマンスが高いと見ている市場は「米国」が41%、「日本」が34%だった。反対にパフォーマンスが低いと見ているのは「新興国」が47%と半分近くの回答を集めた。
調査は国内機関投資家の運用担当者など211人を対象に実施し、123人が回答した。調査期間は2月1~3日。