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MSCI指数とは? 世界の投資家が注目する指数の特徴など分かりやすく解説!

記事公開日 2023/11/22 07:00 最終更新日 2023/11/22 10:19 経済・ビジネス コラム・インタビュー 市場用語再点検 金融コラム

(初回公開日2022年2月24日16:00)

【QUICK Money World 荒木 朋】株式投資におけるリスク・コントロールのひとつの手法として「分散投資」があります。投資対象を日本国内のみに絞らず、世界の様々な国・地域の株式にグローバルに広げて投資することも分散投資の一例です。ここでは、世界の株式に投資する際のベンチマーク(運用指標)として最も有名な株価指数のひとつである「MSCI指数」について解説するとともに、日本で投資できるMSCI関連の金融商品や、その特徴などについて詳しく見ていきたいと思います。

MSCI指数とは?

MSCIとは、「モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル社」の英語の頭文字をとったもので、同社が算出・公表する株価指数の総称を「MSCI指数」と呼んでいます。MSCI指数は世界の多くの投資家や投資信託などの運用の基準として採用されています。MSCIによれば、MSCI指数をベンチマークとして運用する資産総額は16兆3000億ドル(約1870兆円、2021年6月末時点)に上り、上場投資信託(ETF)については1300本以上(20年3月末時点)がMSCI指数をベンチマークにしています。

MSCIは先進国や新興国などの市場別や国・地域別、産業分類別など多岐にわたる株価指数を提供していますが、代表的な指数として、全世界の株式を対象とした「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」のほか、先進国の上場銘柄で構成される「MSCIワールド・インデックス」や「MSCIコクサイ・インデックス」などが挙げられます。

日本株を取り巻く環境が目まぐるしく変化しています。世界的なインフレ、FRBの金融引き締めと米金利の上昇、ウクライナ問題やその他の地政学リスク。これらの影響を受ける日本企業の業績。国内では政治の動向も見逃せません。国内外に横たわる多くの売買材料はどう消化すべきなのか。運用の巧拙が分かれやすい状況で投資判断も迷いがちではないでしょうか。

QUICK Money Worldでは日々のマーケットの変化を専門記者・ライターが伝えています。以下のリンク先では日本株の投資戦略をまとめた「日本株ストラテジー」の記事を一覧にしています。マーケット情報の収集と知見の獲得にぜひご活用ください(一部は会員限定コンテンツとなっています)

「日本株ストラテジー」の記事・ニュース一覧_ボタン

MSCIワールドとMSCIコクサイの違いは?

MSCIワールド・インデックスとMSCIコクサイ・インデックスは、ともに先進国の株式市場に上場する銘柄群で構成される指数です。違いは構成銘柄に日本企業が含まれるかどうかです。MSCIワールド・インデックスは日本を含む先進国23カ国の銘柄で構成される一方、MSCIコクサイ・インデックスは日本を除く22カ国の銘柄で構成されています。

※MSCIワールド・インデックスとMSCIコクサイ・インデックスの国別ウエート

※MSCIワールド・インデックスとMSCIコクサイ・インデックスの国別ウエート(22年1月末時点)

日本の投資家はすでに自身の株式ポートフォリオに国内株(日本株)を組み入れているケースが多いと思われますが、分散投資の観点でみた場合、海外株の投資を検討する国内投資家にとっては日本以外の先進国で構成されるMSCIコクサイ・インデックスは効率的かつ魅力的な投資先のひとつといえるでしょう。実際、日本で販売されている外国株式に投資する投資信託やETFなどのベンチマークには、MSCIワールド・インデックスではなくMSCIコクサイ・インデックスの方が多く利用されているようです。

MSCIと株価指数の関係性は?

「株価指数」は株式市場の動きを把握するため、複数銘柄の株価を一定の計算式を使って数値化したもので、日本の代表的な株価指数としては日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)などがあります。また、これらの株価指数は株式に投資する投資信託やETFなどのベンチマークとしても利用されます。

MSCI指数も「株価指数」のひとつで、MSCIワールド・インデックスを例にとると、世界の先進国23カ国の株式市場に上場する銘柄の株価を数値化したものになります。MSCI指数も日経平均やTOPIXなどと同様、MSCI指数に関連するETFなどの金融商品の運用指標として利用されているのです。

 

投資信託とETFの違いを整理

MSCI指数に関連した金融商品を購入する際、投資信託やETFなどに投資することになりますが、ここでは投資信託とETFの違いを整理しておきましょう。

1番の違いは上場しているか、していないかという点です。投資信託は証券会社など金融機関の口座を通じて購入します。一般的な投資信託は1日1回算出される基準価額で取引されます。

対して、ETFは東京証券取引所などの金融商品取引所に上場しているため、証券口座で個別銘柄を売買するのと同じ感覚で取引ができます。取引所の取引時間内であれば1日に何回でも市場価格でリアルタイムに取引ができるため、仮に個別の材料や海外発の材料などで相場全体が変動した場合にも機動的に売買することが可能になります。指値注文や信用取引などを行うことができるのもメリットのひとつでしょう。

<関連記事>
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MSCI関連商品への投資を行う方法は?

MSCI指数に連動する金融商品に投資するにはどんな方法があるでしょうか。

まずは、海外に上場しているMSCI指数に連動するETFを購入する方法があります。ただし、この場合はネット証券などの証券総合取引口座で「外国株式取引口座」を開設する必要があるなど、少々の手間がかかります。

最も簡単なのは日本円のままMSCI指数に連動する金融商品を購入する方法です。投資信託を購入することもできますが、東京証券取引所にはMSCI指数への連動を目指して運用する複数のETFも上場しています。これらのETFに投資すれば、世界の先進国市場に上場する主要企業の株式に分散投資をしたのと同じ効果を得られます。

 

MSCI指数に連動するETFを紹介

東京証券取引所には、MSCI指数を運用指標にしている複数のETFが上場しています。例えば、日本を除く先進国22カ国の上場企業に投資するMSCIコクサイ・インデックスの円換算値との連動を目指すETFでは、三菱UFJ国際投信が運用する「MAXIS 海外株式(MSCIコクサイ)上場投信(MXS外株、コード1550)」や、野村アセットマネジメントが運用する「NEXT FUNDS 外国株式・MSCI‐KOKUSAI指数(為替ヘッジなし)連動型上場投信(NF外株ヘッジ無、コード2513)」、同ETFで為替ヘッジありの「NF外株ヘッジ有、コード2514」などがあります。

MXS外株とTOPIXについて、コロナウイルスの感染拡大があった2020年以降の株価推移をみると、MXS外株のパフォーマンスがTOPIXを大きく上回っていることが分かります。

MXS外株とTOPIXの過去3年の値動き

※MXS外株とTOPIXの過去3年の値動き

MSCI指数にはどんな銘柄が採用されている?

MSCI指数にはどんな銘柄が採用されているのでしょうか。MSCIコクサイ・インデックスの組み入れ銘柄を見ると、アップルやマイクロソフト、アマゾン・ドット・コム、テスラ、アルファベットなど上位10銘柄はすべて米国企業で占められています。国・地域別の配分も米国が7割強に達するなど、米国の主要企業を中心としたポートフォリオで構成されていることが分かります。MSCI指数の動向を占ううえでは、米経済の先行きや米主要企業の収益成長力がカギを握っているといえそうです。MSCIワールド・インデックスについても同様で、組み入れ上位10銘柄はすべて米国企業で占められています。

ちなみに、MSCIワールド・インデックスには日本の企業も構成銘柄に組み入れられています。MSCIは2月、5月、8月、11月の年4回、構成銘柄の定期見直しを実施しています。特に5月と11月は大規模な見直しが行われます。世界の多くの投資家がMSCI指数をベンチマークとしているため、構成銘柄への新規採用や除外が決まると株式需給に大きなインパクトを与え、対象銘柄の株価にも影響を及ぼすのです。

例えば、2023年2月に機関投資家がベンチマーク(運用指標)とする株価指数である「標準指数」から除外が決まったカカクコム(2371)。米MSCIが除外を発表した日本時間10日朝からの取引で株価は大幅安となり軟調な展開が続いています。今後は機関投資家からの買いが縮小するとの見方が広がりました。

※カカクコムの株価チャート

日本の個別銘柄に投資をしている場合は、MSCIが公表する構成銘柄の定期見直しに関するニュースをチェックし、自身が保有する銘柄に影響がないか確認するようにしましょう。

MSCI定例構成銘柄見直しでの標準指数への日本株入替動向(過去1年)

22年2月

日本株の入替なし

22年5月

日野自動車(7205)や良品計画(7453)、メルカリ(4385)など22銘柄を除外。新規採用銘柄はなし。

22年8月

日本株の入替なし

22年11月

日本株の入替なし

23年2月

ベイカレント・コンサルティング(6532)、マツキヨココカラ&カンパニー(3088)を新規採用。伊藤園(2593)、カカクコム(2371)を除外

23年5月

日本株の入替なし

23年8月

ゼンショーホールディングス(7550)を新規採用し、日清製粉グループ本社(2002)、日本新薬(4516)を除外。

23年11月

新規採用はゼロ、除外は、サイバーエージェント(4751)、GMOペイメントゲートウェイ(3769)、博報堂DYホールディングス(2433)、京王電鉄(9008)、小林製薬(4967)、栗田工業(6370)、LIXIL(5938)、日本ガイシ(5333)、パーソルホディングス(2181)、ウエルシアホールディングス(3141)の10銘柄。

まとめ

MSCI指数は、世界の多くの投資家がベンチマークにするなど、世界的にも注目度の高い株価指数です。グローバルな投資や株式の分散投資に興味を持っている方は、MSCI指数に関連する投資信託やETFの購入を検討してみてはいかがでしょうか。

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著者名

QUICK Money World 荒木 朋

1998年にQUICKに入社。2003年から11年間、日本経済新聞社、日経QUICKニュース社(NQN)で記者職に就く。0609年にNQNニューヨーク支局に駐在。1820年はQUICKロンドン支店に赴任。08年のリーマンショック、20年のBrexitはいずれも現地で取材した。QUICK退社後、ボクシングトレーナーとして働く傍ら、21年から「QUICK Money World」に寄稿。


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