金融市場が揺れる中、外国為替市場ではウクライナ危機による円高・ユーロ安は一服したとの見方が多かった。QUICKと日経ヴェリタスが共同実施した3月の月次調査<外為>で対ユーロの円の水準を聞いたところ、3月末時点は調査期間中並みの水準だが、6月末には130円程度まで円安・ユーロ高が進むとの見方が多数派だった。
調査を実施したのは3月7~9日で、円の対ユーロ相場は一時124円台前半まで上昇した時期になる。その後、日本時間10日には一転して1ユーロ=128円台まで円安・ユーロ高が進むなど値動きが激しくなっている。
ロシアへの経済制裁を巡る欧州の景気下押しリスクは大きいが、欧州中央銀行(ECB)は10日の理事会で量的緩和の縮小を加速する方針を決めた。調査でも2022年中に資産買い入れを停止するとの回答は77%にのぼった。利上げ開始時期も38%が年内と答えた。
ただウクライナ危機を十分に消化できていない面もあるようだ。調査では「金融政策の方向性は変わらないと回答したが、実際は見直す可能性もあると考えている」(都市銀行)との声があった。クレディ・アグリコル銀行の斎藤裕司外国為替部長は、ECB理事会直前というタイミングもあいまって、戦争の短期収束などを前提とした様子見の「現状維持」回答が多かったと話す。「軍事費増大、失業、インフレ、さらにスタグフレーションのリスクもあり、根本的な問題が解決しない限りユーロの下落圧力は続く」(斎藤氏)とみていた。
米金融政策の見通しについても尋ねた。米連邦準備理事会(FRB)が年末までにフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標を何%まで上げるかを聞いたところ、1.00~1.25%が35%と最多で、1%以上を予想する声が過半だった。1月調査(約2割)から増えた。
調査は金融機関や事業会社の外為市場関係者79人が回答した。