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資産運用で目安とすべき利回りとは?平均的な水準や高利回りのワナを解説(資産形成イロハのイ)

記事公開日 2022/5/12 17:30 最終更新日 2024/6/13 15:03 経済・ビジネス コラム・インタビュー 資産形成イロハのイ 金融コラム

資産運用で目安とすべき利回りとは?平均的な水準や高利回りのワナを解説(資産形成イロハのイ)

(この記事は2022年5月12日に公開したものを再構成しました)

【QUICK Money World 辰巳 華世】資産運用を始めると、どれくらいの利回りを目指すべきなのか気になる人が多いと思います。今回は資産運用での「利回り」について知りたい人向けに、資産運用で目標としたい利回りとは、高い利回りに潜むリスク、リスクを回避する方法、利回りで考える怪しい投資商材の見抜き方について紹介します。

資産運用の目標としておすすめの利回りとは

資産運用は資産を効率的に増やすために行います。資産を効率的に増やすためには、「利回り」を意識する必要があります。利回りとは、投資金額に対する収益の割合です。この収益には、「利息」だけでなく、投資商品を売却した際の売却損益も含まれます。利回り計算の式は

利回り(%)=(利息・分配金+売却損益)÷投資金額×100

話を簡単にする為に税金などは省きますが、例えば100万円で買った投資信託の1年間の分配金が5万円、その投資信託を102万円で売却し2万円の利益が出た場合の利回りは、(5万円+2万円)÷100万円×100=7と、この投資信託の利回りは7%となります。この様に、利回りとは一定期間の投資成績を表すものです。

利回りと混同しがちな言葉に「利率」があります。利率とは、投資した額にいくらの利子や利息がつくかを示した割合です。預金や社債などの金融商品には利率があります。一般的に利率は予め決まっているので投資前に確認することができます。例えば社債の利率3%であれば、100万円投資すれば年3万円の利息がつくことになります。

さて、話を利回りに戻します。利回りは、利回りが高ければ高いほど多くの利益(リターン)を得たことになるので、利回りが高い金融商品が良い商品と思うかもしれません。しかし、運用においてリスクとリターンは比例の関係にあり、リターンが大きいということはリスクもそれだけ高いということです。投資におけるリスクとは、「リターンの振れ幅」であり、リスクが高いということは、大きく儲けることもあるが、一方で大きく損をする場合もあるというとです。なので、資産運用をする際は、利回りとリスクのバランスを考えていくことは大切です。

では、資産運用におけるおすすめの利回りとはどれくらいでしょうか。一つの考え方に、年間の利回り約7%を目指すというのがあります。運用資産を10年で倍にすることを目標にする考え方です。税金などを考慮しないで考えた場合、年間の利回り約7%で10年複利運用すると資産は、ほぼ倍になります。

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ちなみに、資産が2倍になる期間を計算する「72の法則」という考え方があります。計算式は「72÷利回り=期間」です。例えば利回り3%であれば、72÷3=24となり利回り3%で資産を倍にするは約24年かかります。

 

資産運用の利回り、目安は株式の3~5%

ただ、10年で資産が倍となる利回り7%の目標は意外と高めかもしれません。なぜなら資産運用は1年間だけの目標ではなく、長い期間で安定的に行う必要があるからです。

新型コロナウイルス感染拡大の影響でここ数年の世界の株式相場は大きく変動しました。例えば2020年3月に1万6000円台まで急落した日経平均株価は、2021年9月に3万円台を付け約2倍近く上昇しました。2024年には一時、4万円台まで上昇しています。この相場展開を考えると利回り7%は簡単に達成できるかもしれません。しかし、ここ数年の環境はコロナ禍とコロナ禍からの回復という特殊な状況であり、毎年必ずこの様な相場展開になるわけではありません。

中長期の安定的な運用で、リスクと利回りのバランスを考えると、利回り3%から5%程度を目指すのが現実的な水準かもしれません。2001年以降の世界全体の値動きを示す「MSCI全世界株指数(ACWI)」は年平均5.6%の上昇でした。ちなみに内閣府が2021年7月27日に公表した2021年度から運用を開始する大学の研究支援などに必要な資金を運用益でまかなうファンドでは、目標利回りを4.38%以上としています。公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が今のような運用を開始した2001年度以降、2020年度までの年金積立金の名目の運用利回りは年平均で3.64%でした。

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GPIFとは何か なぜ「クジラ」?ポートフォリオや運用状況、ESGとの関わりを解説

利回り5%だとそれほど儲からないのではないかと思う人もいるかもしれませんが、資産運用では「時間」「複利効果」が強い味方です。

複利とは、元金と利子の合計金額に利子がついていくことです。複利効果とは、運用で得た利益を再投資することで、利益が利益を生んで雪だるま式にお金が膨らんでいくことです。

例えば、5%の複利で運用をした場合を考えてみましょう。10万円の元金に1年目は10万円×5%=5000円の利子が付きます。2年目は、元金10万円+1年目の利子5000円=10万5000円に対して5%の利子が付き、利子は1年目より250円増え5250円になります。3年目は10万5000円+2年目の利子5250円=11万250円に5%の利子・・・・という具合に、利子に利子が付き雪だるま式に増えていきます。ちなみに、元金だけに利子がつくことを「単利」と言います。

積み立て投資で毎月5万円を年利回り5%で20年運用を続けると、投資元本1200万円が2029万円になります。利回り5%の20年間の運用収益は829万円にもなるのです。

また、個人型確定拠出年金( iDeCo 、イデコ)では、掛け金が全額所得控除になるなどの税制メリットがあります。例えば企業年金のない会社員は年間27万6000円まで積み立て投資ができ、課税所得が500万円の人は、所得税20%、住民税10%で8万2800円の所得税・住民税負担軽減になります。イデコで20年運用した場合、税負担軽減額は、8万2800円×20年=165万6000円と大きくなりますので資産運用でiDeCoは積極的に活用したいところです。

<関連記事>
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高い利回りに潜むリスク

資産運用は効率的に資産を増やすためにするので、できるだけ高い利回りで運用したいと思うのは当然のことです。しかし、投資の世界でリスクとリターンは比例の関係にあります。利回りが高いということは、リターンが大きいということであり利益も大きくなります。一方で、リスクも高いので損失が出てしまうと損失額も大きくなってしまいます。なので、投資初心者が中長期で安定的に資産運用するためには、無理に高い利回りで運用するのではなく、リスクとリターンのバランスを考えて堅実な運用をすることが大切です。

 

リスクを回避する方法

運用は成功が必ず保証されたものではなく、リスクは必ずあります。中長期で安定的に資産を運用するためには、リスクをコントロールしていくことが大切です。リスクをコントロールする方法はいくつかあります。まずは投資の大原則である分散投資を心がけることです。一つの資産に偏ることなく、投資先を分散させることが大切です。分散投資は、資産の種類だけでなく、投資先の地域や、投資するタイミングなどあらゆる側面での分散を心がけると良いでしょう。リスク対策のポイントについては以下の記事をご覧下さい。

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QUICK 資産運用に失敗しないためのポイントとは?失敗した場合の解決方法はある?

利回りで考える怪しい投資商材の見抜き方

資産運用を考えると、少しでも利回りが高い金融商品に投資をしたいところですが、あまりに高い利回りをアピールしている投資商品などには冷静な判断が必要です。「必ず儲かる」、「元本保証」、「今後利回りが30%かそれ以上になる」、「毎月10%の利回りを確保」などおいしい話には注意してください。

そもそも成功が約束された運用はありません。運用の世界では、リスクとリターンは比例の関係にありリターンが高いということはそれだけリスクも高いということを意味します。ローリスク・ハイリターンの投資はないと思いましょう。

怪しい利回りに気づくには、現実的に上場しているまっとうな商品、高配当の優良株式の配当利回りや上場不動産投資信託(REIT)の分配金利回りをチェックしておくことが重要です。だいたい、相場がよいときで3%、相場が大きく下落し割安とされる水準で6%程度で推移します。それ以上の利回りが保証されるような商品は、何か想定しないリスクがあると見て、よく確認することが必要です。

また、「利回り6%」など現実的に見える数値であっても、すぐには信頼せず、その商品を販売している会社投資対象過去の実績などを必ず確認する必要があります。利回り以外にも、「海外投資」「聞いたことのない投資」は疑う目を持つことも大切です。

QUICK Money Worldで提供しているスコア株サーチを使えば、企業の規模や収益性で絞り込んだ後、配当利回りの水準で絞り込むことができます。また、コンセンサス株サーチを使えば、証券会社のアナリストが投資判断をつけている企業を対象に、さらに配当利回りの水準で絞り込むことができます。ぜひご活用ください。

まとめ

資産運用は、中長期で安定的に行うものなので、目標とする利回りは、現実的な水準を目指すことが大切です。国の非課税制度であるiDeCoや少額投資非課税制度(NISA)を積極的に活用しながら、堅実に資産を増やしていきましょう。

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著者名

QUICK Money World 辰巳 華世

2003年にQUICKに入社後、15年間勤務。約5年にわたり日本経済新聞社、日経QUICKニュース社(NQN)にて記者職に就く。QUICK退社後、フリーランスライターとして2020年より「QUICK Money World」に寄稿。


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