債券市場関係者の国内金利の上昇予想が一服した。QUICKが発表した5月のQUICK月次調査<債券>で、1カ月後(6月末時点)の新発10年債利回り予想の平均は0.230%と、5カ月ぶりに低下した。3か月後、6カ月後の見通しはそれぞれ0.229%、0.237%と同水準を見込む。日銀が国債を0.25%の利回りで無制限に買い入れる指し値オペの実施を続けているうえ、世界景気の減速懸念や米金利の上昇一服で金利の先高観が薄れている。20年債や5年債、2年債の利回り見通しも低下した。
旬の話題について聞く特別質問では、今後の物価指標について予想を聞いた。企業や家計の中長期の予想物価上昇率が日銀の物価安定目標である2%に達するのはいつになりそうか聞いたところ、企業、家計双方で「達しない」という回答が3割強を占めて最多だった。一方、時期を回答した市場参加者のなかで比較すると、2%に達する時期を2022年度中とした回答がそれぞれ全体の3〜4割を占め、見方が割れる結果になった。
総務省が20日発表した4月の全国消費者物価指数(CPI、生鮮食品を除く総合)は前年同月比2.1%上昇し、消費税増税の影響があった15年3月以来およそ7年ぶりに2%に到達した。CPIの前年比上昇率が継続的に2%を割り込むのはいつになるか聞いたところ、22年度後半が44%、23年度前半が40%と多くを占めた。今後1年あまりのうちにCPIは再び伸び悩むとの見方が支配的なようだ。
日銀が実施している指し値オペについて、買い入れ利回りが引き上げられたり、オペ自体が撤廃される時期を聞いたところ、「2023年度前半」との回答が44%と最も多かった。黒田東彦日銀総裁の任期中は現行の政策が続くとの予想が聞かれた。指し値オペの効果については「長期金利目標上限を防衛できるか」に対して85%、「国債市場の機能を低下させているか」に対して90%が「はい」と回答した。
調査は5月24〜26日にかけて実施し、債券市場関係者115人が回答した。