【QUICK Money World 辰巳 華世】資産運用をする上で、ポートフォリオを作ることは大切です。今回は投資初心者向けに、ポートフォリオとは何かをお伝えします。ポートフォリオの必要性や作り方、ポートフォリオ作りのコツ、事例、活用できる無料サービスなどについて紹介します。
ポートフォリオとは
金融の世界での「ポートフォリオ」とは、株式、現金、債券、不動産など投資家が保有している金融商品の一覧や組み合わせのことを指します。運用する上でポートフォリオを組むことはとても重要です。ポートフォリオを見れば、全資産の内訳が把握でき、どの資産を何%くらい保有しているかが一目で確認できます。
資産運用を始めるには、ポートフォリオを考えたうえで、長期、積立、分散を意識することが大切です。
まず、毎月の生活費の中から、どれくらい貯金ができ、その内のいくらを運用するのか、運用期間はどれくらいにするのか、目標額はいくらなのかなどを考えます。その目標を実現するためには、どの資産にどれくらい配分して運用していくのが良いかを考えポートフォリオを組んでいきます。
資産運用では、分散投資が基本なので、一つの資産ではなく、複数の資産を保有することになります。運用や貯金に回せる額が決まったら、例えば全資産の内、10%を株式投資、30%を投資信託、10%を債券、残り50%は貯金などそれぞれどういう配分にするか具体的に決めていきポートフォリオを組んでいきます。
ポートフォリオの詳細な説明は、以下のリンクで紹介していますので確認下さい。
⇒ ポートフォリオとは何か 分散投資は運用の基本 年代ごとの考え方、作り方も解説
ポートフォリオの必要性
ポートフォリオの便利なところの一つは、資産運用を図式(グラフ)化することで、自分の運用方法の偏りやバランスを視覚的に確認できることです。実際に円グラフで見ると、自分が積極的な運用をしているのか、どちらかというと保守的なのかなどを目で感じることができると思います。得られるリターンと抱えるリスクの割合を分かりやすく確認できます。
ポートフォリオは、自分の資産状況を確認する時にも役立ちますが、ファイナンシャルプランナーなど誰かに運用について相談する時にも便利です。そのポートフォリオをベースに、例えば「リターンが狙える株式の配分を5%増やしましょう」「もう少し現預金の比率を高めましょう」など具体的なアドバイスを受けやすくなります。
ポートフォリオの作り方
ポートフォリオを組む場合、まず最初にすることは毎月の収入の中からいくらを貯金や投資に回せるかを把握します。予算が決まったら、その資産運用の目的や目標金額を決めます。
予算と目標金額をもとにシュミレーションを行います。多くの金融機関などが資産運用のシュミレーションをホームページで提供しているので積極的に活用しましょう。予算と目標金額から逆算して必要な運用期間や利回りが分かったり、一定の運用期間の中、予算で目標金額を達成するには、どれくらいの利回りが必要になるかが分かったり、様々なパターンのシュミレーションをすることができます。
シミュレーションの詳細な説明は、以下のリンクで紹介していますので確認下さい。
⇒資産運用のシミュレーション方法とは? 計算方法やツールを紹介!(資産形成イロハのイ)
ある程度のシュミレーションをしたら、具体的にどういう資産配分にするかが見えてきます。必要な利回りを確保するためには、どういう運用をしたらいいのか、株式、投資信託、REIT、債券などバランスを考えて資産配分をしていきます。
各資産の配分が決まったら、次は具体的な商品を選んでいきます。例えば、資産運用の代表的な商品である投資信託。種類はたくさんあります。株式中心の投資信託、債券中心の投資信託、バランス型の投資信託など様々です。株式中心の投資信託を見ても、指数に連動したインデックス型、ファンドマネージャーが銘柄を選択するアクティブ型、国内株式を対象としたものから先進国の株式、新興国の株式中心などタイプは様々です。投資信託の中でも、リスクとリターンのバランスを考えながらいくつかの投資信託に分散して投資していきましょう。
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ポートフォリオ作りのコツ
ポートフォリオを作る時のコツはいくつかあります。まずは、リスクを分散し、かつ資産が着実に増えるような組み方を考えることです。
分散投資をすることはとても大切なのですが、一方であまりに細かく分散しすぎるのは考えものです。あまりに分散しすぎると、その分、手数料や手間暇などコストがかかるからです。例えば株式投資で30銘柄など多くの銘柄を保有していると、各銘柄の決算などの把握も大変な作業となってきます。なので、自分が無理なく把握できる5〜6銘柄くらいにとどめておくことも一つの方法です。
そして、ある程度の期間は作り直す必要がない様に、しっかりとポートフォリオを考えておくことも大切です。例えば株式を増やして債券を減らすなど大きな方針変更を毎回する様な組み方は控えた方が良いでしょう。資産運用は長期、積立、分散が基本なので、ある程度は同じポートフォリオで運用することが大切になります。
ただ、折を見てポートフォリオの具体的な中身を見直す必要はあります。経済状況や株価の動きによって、資産や銘柄の入れ替えなどは必要になる場面もあります。また、例えば大きく株価が上昇したことで、保有資産が膨らみ、自分のポートフォリオのなかで株式の比率が高まることがあります。また、その逆もあります。保有資産の割合が想定していた比率から大きく乖離した場合は、その時の状況を見ながら、その都度どうしていくか判断していくことが大切になります。
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そして、資産運用をする上で、ある程度の資産は貯金など現金で持っておくことも大切です。いつ何が起こるかは分からないので、全資産を運用にあてるのではなく、ある程度すぐに使える現金を預金などで持っておくことは、どの世代にも大切なことです。
ポートフォリオ事例を紹介
ここでは3つのパータンのポートフォリオ事例を紹介します。こちらで紹介した様々な資産に分散投資をする際には、それぞれの資産に対応した投資信託や上場投資信託(ETF)を購入するのがおススメです。
リスクを抑えて運用したい方のポートフォリオ例
リスクが比較的低い債券を中心に運用するポートフォリオになっています。リタイア後など給与収入が少なく、運用資産の減少を避けたい(給与収入で穴埋めできない)方は、リスクを抑えた運用をすべきでしょう。
→株式投資(先進国)10%・株式投資(国内)10%・債券(先進国)20%・債券(国内)60%
リターンを狙いたい方のポートフォリオ例
リターンを狙うため、株式に6割の資産配分しています。比較的利回りが高い不動産投資信託(REIT)も組み入れています。リタイアまでの時間が十分にあり、リスクをしっかりとれる方(運用資産が減少しても、それを補う時間と給与収入のある方)向けのポートフォリオです。
→株式投資(先進国)30%・株式投資(国内)30%・不動産投資信託(REIT)20%・債券20%
分散投資をしてリスク分散をしたい方のポートフォリオ例
さまざまな資産を同じ位の割合で組み入れることでリスクを抑えつつ、幅広くリターンの機会を狙う形になっています。
→株式投資(先進国)25%・株式投資(国内)12.5%・不動産投資信託(REIT)12.5%・債券(先進国)25%・債券(国内)25%
ポートフォリオ作りに活用できる無料サービスとは
ポートフォリオ作りに活用できる無料のサービスはたくさんあります。先ほど説明したように、金融機関などがWebサイト上でポートフォリオの自動シュミレーションサービスを提供しています。様々なパターンでシュミレーションすることができます。投資をする年数、投資額、許容できるリスク、安定性重視なのかリターン狙いたいのかなど自分が希望する資産運用の方向性などを入力すると、参考となるポートフォリオを生成してくれます。
最近ではアプリでポートフォリオ管理ができるものもあります。スマートフォンにアプリをダウンロードすればスマホ上でポートフォリオを管理することも可能です。証券会社などでは、顧客のヒアリングをもとに、おすすめのポートフォリオを設計し、提案してくれるサービスなどもあります。
いろいろなサービスがありますので、自分にあったものを選択しポートフォリオ作りの参考にしてみて下さい。
まとめ
資産運用をする上でポートフォリオの作成は大切です。ポートフォリオを作成すると、資産運用のバランスや偏りを一目でわかるようになります。ポートフォリオを資料に、今後の資産運用について検討していきましょう。
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