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60代の資産運用ポイントとポートフォリオの考え方 増やすことより「資産寿命」を意識(資産形成イロハのイ)

記事公開日 2022/8/9 18:30 最終更新日 2024/3/28 22:14 経済・ビジネス コラム・インタビュー 資産形成イロハのイ 金融コラム

60代の資産運用ポイントとポートフォリオの考え方 増やすことより「資産寿命」を意識(資産形成イロハのイ)

【QUICK Money World 辰巳 華世】人生100年時代を迎えた今、60代での資産運用やポートフォリオについての悩みを持つ人が増えています。今回は、60代の資産運用・ポートフォリオ作りの姿勢について、資産を守らなければならない理由、資産を守りたい60代向けのポートフォリオ例、資産を節約する方法について紹介します。

60代の資産運用・ポートフォリオ作りの姿勢について

時代の変化の中、60代の生活は大きく変わっています。一昔前の60代と言えば、定年退職を迎え、退職金をもとに年金生活、老後生活の始まりというイメージでした。しかし、現在の60代の様子は大きく変わりました。

給与の伸び悩みや退職金の減少、年金受給開始年齢の引き上げや支給額減少など様々な不安があり60代できっぱりと仕事を辞め、悠々自適な生活を送れる人は少なくなりました。また、人生100年時代を迎え、平均寿命が伸びたことで、長くなる老後への備えもより必要になっています。

2020年に公表された金融審議会 市場・ワーキンググループ報告書によると、夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみ無職世帯では毎月5万円の赤字となり、この先の寿命を考えると不足額は2000万円になるとの試算が示されています。いわゆる「2000万円問題」です。

この様に大きく環境が変わったこともあり、60代でも働く人が増えています。しかし、60代は基本的には収入が減る傾向にあります。企業の定年が延長される傾向にはありますが、一般的に60代は定年退職する人が多く、これまでの様な雇用形態で働き続けることが難しいです。退職後も再雇用などで働いたとしても収入は現役時代よりは少なくなることが多いです。

60代では引き続き働き、収入を得ることに加え、上手に資産を守りながら運用し老後に備える必要があります。現役時代から老後に向けて資産運用を行ってきた人も、これまであまり老後資金の準備をしてこなかった人も、資産運用で人生100年時代に備える必要があります。

ただ、60代では現役時代と違いこの先の労働収入は減る傾向であり、資産を大きく増やすというよりは、守りながら取り崩していく運用が大切です。どれだけ増やすかよりも、取り崩しながら何年、資産を維持できるか、という「資産寿命」を考える必要があります。60代という年齢を考えると大きな失敗は許されない世代です。そのため、リスク対策を徹底して現在の資産を守る資産運用・ポートフォリオ作りがおすすめです。

具体的な資産運用の方法やポートフォリオの組み方については、以下のリンクで紹介していますのでご覧下さい。
初心者におすすめの資産運用とは?始めるベストな年齢や時期はある?
資産運用にポートフォリオが必要な理由とは

 

資産を守らなければならない理由

60代の資産運用では大きな失敗は許されません。なぜなら老後、つまり労働収入がゼロになる時期までの時間的余裕がないからです。

2020年の新型コロナウイルス感染拡大による株式相場の急落の様に、いつ何が起こり相場が大きく変動するかは予想ができません。老後生活まで時間があれば、万が一大きな損失を出した場合でも取り戻せるチャンスがありますが、時間的余裕がないとそれも難しくなります。

また、労働収入がなくなると基本的には年金頼みの生活になります。年金だけで暮らすには不足額が出る可能性が高く、不足額は、これまで蓄えた資産を切り崩していくことになり資産が減少しやすくなります。

生活費以外にも、冠婚葬祭費や医療費といった出費が発生しやすい年代でもあります。少子高齢化が進んでいることもあり今後は受け取れる年金が少なくなるとも言われているので、より資産を維持する方法や節約が求められる可能性があります。

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資産を守りたい60代向けのポートフォリオ例

60代の資産運用は基本的には資産を大きく増やすというよりは、減らさないということを意識することが大切です。そのため、資産損失を徹底して回避するために、資産の多くをリスクの低い債券などで運用することが多いです。債券に投資する際も国内だけでなく、先進国の海外債券なども含め分散投資をします。

ただ、多少のリターンも得るために株式や株式を中心とした投資信託を低い比率で取り入れるのも良いでしょう。ある程度のリターンを狙い資産を少しでも増やしたいなら株式や株式を中心とした投資信託の比率を高める方法もありますが、リスクはその分高まるのでほどほどにするのがおすすめです。目安とされるのが「100から年齢をひいた数字の割合を株式で持つ」という考え方です。そのため、60歳であれば、株式や株式を中心とした投資信託で運用するのは、多くて資産の40%ということになります。株式は、国内だけでなく、先進国株式など海外にも投資し、分散すべきでしょう。

  • 株式型で20~40%(国内、先進国、REIT)
  • 債券型で60~80%(国内、先進国)

 

資産を節約する方法

60代以降での生活では、労働収入が減っていくこともあり生活費の見直し節約をすることも大切です。子どもたちが巣立ち夫婦二人の生活になるケースも多く、基本的に出費は減少傾向になることが多いです。

それでも見直せる支出は減らしていきたいところです。特に子育てが終わったこともあり生命保険の見直しをする時期です。補償内容を見直して払う保険料を減らすなど検討するのも一つでしょう。また、通信費を見直すことで固定費を減らすことに繋がります。格安スマホでスマホのデータ通信料金を削減したり、家の電話やネット環境で安い通話・ネット回線プランに契約しなおすなど工夫ができそうです。生活費以外の外食費や交際費、その他娯楽費なども一度見直してみると良いでしょう。

まとめ

60代の資産運用は資産を守り維持することが大切です。資産を守るためには、リスクを極力避けたポートフォリオ作りが必要です。また、資産運用以外に出費の節約も心がけ、日々の生活を守っていきましょう。

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著者名

QUICK Money World 辰巳 華世

2003年にQUICKに入社後、15年間勤務。約5年にわたり日本経済新聞社、日経QUICKニュース社(NQN)にて記者職に就く。QUICK退社後、フリーランスライターとして2020年より「QUICK Money World」に寄稿。


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