主要3カ国・地域では米国が最も早くインフレのピークを迎える、あるいはすでに迎えたとの見方が債券市場では多いようだ。QUICKが29日発表した8月のQUICK月次調査<債券>で、日米欧の物価上昇について主要物価指標の上昇率がピークを付ける時期を聞いたところ、62%が「2022年9月末まで」と回答した。米消費者物価指数(CPI)で食品とエネルギーを除くコア指数について、ピーク時の上昇率も尋ねたところ回答の平均値が7.4%、中央値が3月に付けた6.5%だった。すでにピークを過ぎたと考える市場参加者も多いようだ。
一方、日本(コアCPI)と欧州(HICP総合)が上昇率のピークを付ける時期は「2022年10〜12月」が最多だった。欧州は「2023年1〜3月」との回答も2割あった。日本のコアCPIの予想平均値は2.9%と、3%近くまで上昇するとみられている。欧州については「ロシア産天然ガスの供給不安から欧州は高インフレが続く」(信託銀行)との見方があった。
もっとも米国の物価上昇率がピークアウトした後も、インフレがすぐに沈静化するとはみられていない。回答者からは「米国のインフレはいったんピークアウトしたと思うが、目標からははるかに高く、労働市場がタイトな状況では(来年の)利下げはまず考えられない」(投信投資顧問)との見方があった。
国内金利の先行きについては、1カ月後(9月末時点)の新発10年債の利回り予想が平均で0.218%と、7月調査からわずかに上昇した。一方で6か月後(23年2月末時点)の予想平均水準が0.216%に低下し、金利上昇に歯止めがかかるとの見方が広がっていたようだ。ただ、調査が8月23〜25日にかけて実施されたため、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が26日に早期利下げに否定的な見方を示したことを受け、市場の見方が変化した可能性はある。
調査には債券市場関係者124人が回答した。