外国為替市場で円安・ドル高が急速に進行している。7日には1ドル=144円台後半と24年ぶりの円安水準まで下げた。QUICKと日経ヴェリタスが共同で実施した9月の月次調査<外為>で今回の円安がどこまで進むかを聞いたところ、1ドル=144~146円との回答が全体の35%だった。米連邦準備理事会(FRB)の利上げは来年まで続くとみており、日米金利差の拡大を手掛かりとした円売りが続くとの見方が大勢だった。
調査期間は5~7日。円安が急速に進んだ時期と重なっており、調査開始時に1ドル=140円台前半だった円相場は、3日間で144円台後半まで下落した。円安がどこまで進むかとの質問では140~142円との回答も24%あり、市場参加者の予測を上回るスピードで円安が進んだことになる。
「やり遂げるまでやり続けなければならない」。FRBのパウエル議長がインフレ抑制に強い意志を表明したのが8月26日だ。パウエル発言を受けて市場の楽観的な見方は後退している。今回の利上げ局面で米金利がどこまで上昇するか聞いたところ、3.75~4.00%が36%と最多だった。現在の誘導目標は2.25~2.50%で、これから最大1.50%の利上げをするとみる回答者が多い。9月を含めて年内にはあと3回のFOMC(連邦公開市場委員会)が予定されている。9月のFOMCの利上げ幅を聞いたところ、60%が0.75%と回答した。
米国の利上げはいつまで続くのか。2022年内という回答が30%、23年1~3月が41%と、年明けでいったん利上げが打ち止めになるとの見方が7割を占めた。利下げに転じる時期については24年以降との回答が37%と最も多かった。
みずほ銀行の唐鎌大輔チーフマーケット・エコノミストは「円安の背景には、国内外の金利差の拡大と日本の貿易赤字がある。この2点が修正されない限り円安基調は続く」と話す。FRBの利上げが一服するまでは、円安基調からの転換は難しいとの見立てだ。
欧州中央銀行(ECB)は8日の理事会で0.75%の大幅利上げを決めた。ECBの利上げがいつまで続くかとの問いでは22年内が30%、23年1~3月が31%と米国同様に年明けまで続くとの回答が6割を占めた。オーストラリアやカナダなど世界で利上げが広がるなか、ECBも利上げペースを加速させるとの見方が強い。
こうした流れと一線を画すのが日銀だ。日銀が金融政策を修正するのはいつになるのかを聞いたところ23年4~6月が35%と最多だが、24年以降との回答も32%あった。
調査では金融機関や事業会社の外為市場関係者75人が回答した。