【QUICK Money World 村田 菜々子】インフレ・円安の進む今こそ、資産形成のあり方を見つめ直そう――。QUICKは昭和女子大学で10月24日、資産形成の初歩の初歩を体感するカードゲーム「資産形成王」を使った特別授業を実施しました。参加してくれたのはグローバルビジネス学部・会計ファイナンス学科の3,4年生26人。自分の将来を見つめ直す岐路に立つ学生の皆さんに、カードゲームを通じて資産運用のエッセンスを感じてもらいました。講義ではSNSやYouTubeで活躍する経済ジャーナリスト・後藤達也氏が登場し、株式投資など資産形成に取り組む意味を解説しました。
「資産形成王」では、株式・投資信託・現金の3種類からなる「資産カード」を最も増やした人が勝者となります。極めてシンプルなルールですが、各プレイヤーが手番ごとに引く「イベントカード」が波乱を巻き起こします。株式や投資信託を持っている人が資産を大きく伸ばせる「株価上昇」、逆に株式などのリスク資産が没収されてしまう「バブル崩壊」などなど……。起こるイベントは完全にランダムなため、資産をどのように配分してイベントに備えるかはプレイヤーの戦略にかかっています。
3~4人ごとのテーブルに分かれ、まずは1戦。最初は手探りだった学生の皆さんも、あっという間に流れをつかむと、ゲームにのめり込んでいきました。資産を株式に変えて攻勢に出ようとした途端に現金を要求される「税金」を引いて出鼻をくじかれたり、景気よく資産を増やしていた矢先に「金融引き締め」「未知の感染症拡大」が立て続けに起こりほぼ一文無しになったり……。波乱万丈な人生を送る学生さんも続出しました。
資産と人生を守る「資産運用」の知識
資産形成の面白さ、難しさを肌で体感してもらった後は、なぜ資産形成について考えることが必要なのか、講義形式で学びます。講師として登壇した後藤達也ジャーナリストは、昨今急速に進む円安・ドル高が私たちの生活に密接に影響していることをiPhone価格などの例から紹介し、「資産運用をしないリスク」を指摘しました。インフレ・円安が進む環境においては、日本の金融資産の大部分を占める「円預金」の本当の価値はどんどん目減りしていくことになります。資産を増やすためだけではなく、守るためにも、資産運用は必須。そんな講義を学生さんはメモを取りながら真剣に聞いていました。
もう1つ、後藤氏が講義で伝えた重要なメッセージは、おカネにまつわる詐欺や犯罪は思っている以上に身近に存在しているということ。誰でも巻き込まれる可能性があるうえに、被害者になれば資産を丸ごと失うこともある非常に危険な犯罪です。「元本保証と高利回りは絶対に両立しない」など資産運用やお金についての正しい知識は、「うまい話」を装った詐欺から身を守ることにつながります。
資産形成の重要性を知ったところで、最後にもう一度カードゲームで遊んでもらいました。2度目とあって、先ほどのゲームや講義から学んだ新たな戦略で臨む学生さんも目立ちました。勝負がつくころには、資産カードが二桁に届いた人もちらほら。わずか3枚の「現金」でスタートした初期資産を何倍にも膨らませていました。
成功の秘訣は? 各テーブルの勝者にインタビューをしてみると、成功の道筋は人それぞれでした。「現金はある程度持っていた方がいいと1回目のゲームで学んだので、バランスよく資産を持つことを意識した」ことが勝ちにつながった人、「講義の内容も踏まえて、現金を持っていても増えないと積極的にリスクをとった」ことが功を奏した人。なかには、手持ちの現金をすべて「株式」に変える賭けに出たところで「10倍株」のイベントカードを引き当てた猛者もいました。なお、後藤氏によると「運で富豪になる人もいるので否定しないが、運だけで突き進むのではなく、勝って兜の緒を締めることが大事」とのことです。
特別出張授業で資産運用を身近に
今回遊んでもらった「資産形成王」では、資産カードを自ら考えて配分することで資産運用の基本を体験してもらい、投資に対する心理的な距離を縮めることを目的としています。このゲームが生まれた背景には、株式などへの投資に対する過度な警戒や忌避感が、多くの人の「資産を守る力」を弱めているとの危機感があります。本来誰もが身近に考えるべき資産運用というテーマがおざなりにされることは、金融市場を衰退させるだけでなく金融詐欺の横行といった社会問題をもたらします。QUICKが金融教育に力を入れる大きな理由も、この問題意識にあります。
QUICKではこれまで、高校生や大学生を対象に、カードゲーム体験と専門家による講義をセットにした特別出張授業を行ってきました。またデータサイエンス学部や数理・データサイエンス・AI教育プログラムを実施する大学に対しては、QUICK端末を利用したデータ分析学習プログラムを提供しています。ご興味・ご関心のある学校・教育関係者の方は、QUICK Money Worldのお問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。
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