日本企業の景況感が悪化している。QUICKが15日に発表した2月の「QUICK短期経済観測調査」(QUICK短観)で、製造業の業況判断指数(DI)は前月調査から4ポイント悪化のプラス4だった。悪化は2カ月連続で、2021年3月調査以来1年11カ月ぶりの低水準となった。非製造業のDIも12ポイント悪化のプラス23だった。
1年後の消費者物価指数の見通し(前年比)は平均で2.1%上昇、2年後以降は2.0%上昇と、前月調査からほぼ横ばいとなった。直近に発表された2022年12月の消費者物価指数は前年同月比4.0%と41年ぶりの上昇率となったが、1年後には日銀が目指す物価上昇率である2%程度に落ち着くとみている企業が多いようだ。
QUICKでは毎月、全国の証券取引所に上場する企業を対象に業況や事業環境に関するアンケートを実施し、結果をQUICK短期観測調査としてまとめている。2月調査は2月1日から10日まで実施し、246社が回答した。
春闘「5%超の賃上げ検討」も6%
話題のトピックについて聞く特別調査では、今年の春闘への姿勢を尋ねた。連合はベースアップと定期昇給合わせて5%程度の賃上げを求めている。企業からの回答では「3~5%の賃上げを検討」が28%と最多で、「定昇・ベア・一時金含め5%超の賃上げを検討」も6%となった。一方、「賃金体系を見直しており一律の賃上げは難しい」との回答が25%を占めた。その他、インフレ手当てなどの一時金を支給するとのコメントもあった。
東証が作成した企業価値向上に向けた今後の取り組み方針(案)に関して、企業価値向上に重要と考える方策も聞いた。「資本コストを意識した経営」が51%と半数以上を占め、「上場維持の経過措置を25年3月以降に終了」が19%、「PBR1倍割れ企業への改善要請」が15%と続いた。
(QUICK Money World 中田真裕)