QUICKが6月17日に発表した6月の「QUICK短期経済観測調査」で、全産業の業況判断指数(DI)はプラス28と前月調査から2ポイント改善した。2カ月連続の改善で、2019年4月以来5年2カ月ぶりの高水準を付けた。製造業DIが前月比7ポイント改善のプラス21と大きく上向き、全産業を押し上げた。製造業DIは1年10カ月ぶりの高水準だった。
取引延長後の決算対応「未定・検討中」も26%
最近の話題やトピックについて上場企業に聞く「特別調査」では、東京証券取引所の取引時間延長を受けて決算発表の時間をどのようにするか聞いた。東証は11月5日から株式の取引時間を30分延長し、取引終了時刻が15時から15時半に後ろ倒しになる。日本では15時直後の決算発表が多く、これらの企業の対応が焦点となる。
最も多かったのは「現在15時半以降に発表しており、それを継続する」との回答で30%を占めた。発表時刻が15時半以降の企業は現状を維持しても開示が取引時間中にずれ込むことはない。対応方針を早期に固めやすく回答割合が高まった面もありそうだ。今回、26%の企業が「未定・検討中」を選択している。
取引時間延長の影響が直撃する15時発表企業の回答に目を向けると、「現在15時の取引終了直後に発表しており、延長後は15時半以降に発表を遅らせる」とした企業が22%となった。一方、「取引終了後だった発表を取引時間中に移す(15時発表のまま変更しないケースを含む)」は5%にとどまる。現在のところ、取引終了後の発表にこだわる企業が多いことが明らかになった。取引時間中への移行が進まなければ発表の集中が一段と進み、投資家にとってかえって不便になる可能性もある。
物言う株主、株主還元強化を要求
上場企業の株主総会ピークが近づくなか、アクティビストの活動の活発化が話題になっている。今年開催の株主総会に関連して、アクティビストから何らかの要求を受けたかを聞いたところ、「はい」と回答した企業は3%だった。
具体的な要求の内容としては、増配や自社株買いなど株主還元策の強化が目立つ。PBR(株価純資産倍率)の改善など市場での評価の引き上げを迫る要求もあったようだ。
QUICK短観は、全国の上場企業を対象に実施するアンケート調査。今回の調査期間は6月3~12日で、224社が回答した。