QUICK企業価値研究所アナリスト 伊藤健悟(2023/02/21)
・ディスプレイ関連製品などが想定以上に落ち込む
23/3期の連結業績について企業価値研究所では、従来予想を売上収益2兆6000億円→2兆5100億円(前期比13%増)、事業利益1240億円→1040億円(同21%減)へ引き下げる。この期は従来、炭素繊維複合材料部門や繊維部門が伸長するものの、機能化成品部門がABS樹脂の採算悪化やディスプレイ市場の減速で落ち込み、連結全体で事業減益になるとみていた。大きな見方に変更はないが、ディスプレイ関連製品などの需要が想定以上に落ち込んでおり、機能化成品部門の見通しを減額。連結全体でも下方修正した。続く24/3期も期前半の環境は厳しいが、主要製品の需要が徐々に回復し、通期で業績は回復に向かおう。787型機の生産ペース向上も炭素繊維複合材料部門の業績にとって追い風となりそうだ。
・数量減と採算悪化で3Qまで大幅事業減益に
23/3期3Q累計の連結事業利益は、前年同期比24%減の804億円。自動車やディスプレイ関連の製品が出荷を減らしたうえ、原燃料高による採算悪化の影響も厳しく、大幅な事業減益を避けられなかった。
・リスクファクター ~需要回復の遅れなど
・アナリストの投資判断 ~足元の環境は厳しいが、来期以降の回復を見据えて株価は堅調に推移へ
22年初めの700円前後の水準から、同春先に一時500円台半ばまで下落した株価は、同8月にかけて800円台まで上昇。その後は一進一退となっているが、足元では昨年来高値圏にある。直近では当研究所の来期予想連結PERで約15倍と、同社の過去の平均をやや下回る。足元の事業環境は厳しいが、今後787型機の生産ペースが高まるとともに、炭素繊維複合材料部門の業績が上向き、来期以降は着実に利益水準が向上する見通しだ。このため、同社の過去の平均並みとなる17倍程度の評価は可能であり、株価は引き続き堅調に推移すると考える。
(提供:QUICK企業価値研究所)
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