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川崎重工業(7012) 二輪車等の好調が目立つが、流通在庫充足後の動向が注目ポイントに

QUICK企業価値研究所アナリスト 谷林正行(2023/03/02)

・高い利益水準が続くが来期は踊り場に
 企業価値研究所は23/3期の連結予想事業利益を785億円→860億円に引き上げた。今期は会計基準を日本基準から国際基準(IFRS)に変更しており、IFRSで遡及修正した前期との比較で2.8倍となる。北米向けに二輪車などの販売が好調でパワースポーツ&エンジン(PS&E:モーターサイクル&エンジンから改称)を増額した。ただ来期以降は厳しくみた。連結全体では高水準が続くが来期は踊り場になるとみた。

・来期以降のPS&Eは競争激化を想定
 コロナ禍で人気が高まった二輪車はサプライチェーンの問題で品不足の状態にあったが、会社側では主力市場の北米で流通在庫の充足が進んできたとしている。来期以降は小売での販売量に見合った供給量に落ち着くとみられ、さらに販売競争激化による利益率低下が考えられる。

・23/3期3Q累計は遡及修正した前年同期比で2.8倍
 23/3期3Q累計の連結事業利益は、IFRSで遡及修正した前年同期との比較で2.8倍となった。

・リスクファクター ~カントリーリスク、為替レートの変動、各種規制、賠償請求の協議の動向など

・アナリストの投資判断 ~会社計画は増額修正だが、株式相場全体に準じた値動きを想定
 当研究所では今後の株価について、概ね株式相場全体の値動きに準じたパフォーマンスを見込んでいる。3Q決算発表時に会社側が通期計画を引き上げた(事業利益は760億円→860億円)ことは好感された模様だが、中国の建機向け油圧機器の悪化や会社側が来期のPS&Eの見通しについて慎重な見方を示したことが上値を重くしている。ただPS&Eの先行きは不透明感が強い。今後の動向を注視したい。

 

(提供:QUICK企業価値研究所)
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著者名

谷林 正行

シニアアナリスト

民生エレクトロニクス、精密機器、総合重機セクター担当


【プロフィール】
東京大学工学部反応化学科卒、山一証券経済研究所入社、ベンチャーキャピタル、格付機関、IRコンサルティング会社を経て現在に至る。
新技術、テーマを中心としたレポート作成やベンチャー企業の将来性の判断、財務面を中心とした企業分析など、過去に携わった業務経験を活かし、様々な視点から対象企業を分析することを心掛けている。


日本証券アナリスト協会検定会員

日本証券アナリスト協会 ディスクロージャー研究会 電気・精密機器、機械専門部会 評価実施アナリスト


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