製造業の景況感が改善している。QUICKが15日に発表した3月の「QUICK短期経済観測調査」(QUICK短観)で、製造業の業況判断指数(DI)は前月調査から2ポイント改善のプラス6だった。3カ月ぶりの改善となった。非製造業のDIは5ポイント改善し、プラス28となった。
雇用人員が「過剰」と答えた割合から「不足」を引いて算出する雇用人員DIは前月比11ポイント低下し、マイナス47と2019年7月以来の低水準を付けた。新型コロナウイルス禍からの経済活動再開が進むなかで、企業の人手不足感は強い。
QUICKでは毎月、全国の証券取引所に上場する企業を対象に業況や事業環境に関するアンケートを実施し、結果をQUICK短期観測調査としてまとめている。3月調査は3月1日から10日まで実施し、252社が回答した。
価格転嫁、「一部できている」最多61%
話題のトピックについて聞く特別調査では、企業の仕入れ価格などが上昇するなかで、コスト上昇分をどの程度販売価格に転嫁できているかを尋ねた。「コスト上昇分の一部を転嫁できている」が61%で最多だった。「ほとんど販売価格に転嫁できていない」、「全く転嫁できていない」と合わせると、約8割の企業がコスト上昇分を十分には転嫁できていないとの見方を示している。約2割の企業は「コストの上昇分は転嫁できている」または「販売価格に十分転嫁できている」と回答した。
また、東日本大震災から12年が経過するのを前に、企業が取り組む防災対策について複数選択式で聞いた。「非常時向け備品の購入・配置・備蓄」が76%で最多だった。事業継続計画(BCP)を策定している企業も6割以上見受けられた。
(QUICK Money World 中田真裕)