QUICKが5月17日に発表した5月の「QUICK短期経済観測調査」で、円相場について「想定より円安」と考える企業の割合が増えるほど高くなる「円相場DI」(全産業)が86と、前月比15ポイント上昇した。2022年10月調査以来、1年7カ月ぶりの高水準を付けた。調査開始直前に円は対ドルで1ドル=160円台と34年ぶりの円安水準を付ける場面があり、想定以上に円安が進んだと受け止める企業が増えたようだ。
最近の話題やトピックについて上場企業に聞く「特別調査」でも、足元の円安が業績に与える影響を聞いた。最も多かった回答は「総合的にみて中立」で35%を占めた。業績への影響があると回答した企業では「減益要因となる」が27%と、「増益要因となる」(22%)を上回った。類似の質問をした2023年6月調査(当時の為替水準は1ドル=140円台)と比較すると、「減益要因」との回答が小幅に増加した。
有報の総会前開示、企業負担増に警戒感
岸田文雄首相は4月、企業の有価証券報告書の開示時期を株主総会前にする環境整備を進めると表明した。有報の総会前開示についてどう考えるか選択式で聞いたところ、「決算書類との重複をなくすことやデジタル化などの環境整備に取り組んでから実現すべきだ」が42%と最多だった。早期開示の意義は認めるものの、企業の負担軽減につながる取り組みを同時に進めることが条件と考える企業が多いようだ。
次いで多い回答は「企業の負担になるため賛成しない」(23%)、「株主総会前に開示する必要を感じない」(17%)だった。回答企業からは、非財務情報の開示項目なども増えていくなか、一段の実務負担増は避けたいとの声が多く寄せられた。
製造業DIは2カ月連続で改善
製造業の業況判断指数(DI)は前月調査から3ポイント改善のプラス14だった。改善は2カ月連続。一方、全産業DIは前月比3ポイント改善のプラス26だった。
QUICK短観は、全国の上場企業を対象に実施するアンケート調査。今回の調査期間は5月1~14日で、221社が回答した。