ティー・ロウ・プライス・ジャパンが14日、米国の中小型株に投資するファンドを新たに設定する。逆境ともいえる相場状況で運用を始めるのは、「ティー・ロウ・プライス 米国中小型株式ファンド」の「Aコース(為替ヘッジあり)」と「Bコース(為替ヘッジなし)」の2本。野村証券が1社で販売する。
この2ファンドと同じ「米国中小型株式戦略」の運用責任者で、ティー・ロウ・プライス・インベストメント・マネジメントでポートフォリオ・マネジャーを務めるカート・オーガント氏(写真)は、「今が米国中小型株式に投資する絶好の機会」と語る。新しいファンドの特徴や銘柄選定で重視する点などについて話を聞いた。
■銘柄分散を徹底、リスク抑制
――ファンドの特徴を教えてください。
「このファンドは米国の中小型株式を対象とし、約150~250銘柄に幅広く分散投資する。主な投資先候補は米中小型株の代表的な指数の『ラッセル2500』構成銘柄と指数外の500社を合わせた約3000銘柄だ。特定のセクターやバリュー(割安株)・グロース(成長株)のどちらかに大きく偏ることなく、アナリストの個別企業の分析をもとに銘柄選定する。投資の目線は3~5年程度とし、中長期での保有を意識している」
「中小型株式は大型株式よりも相対的にリスクが高いため、原則、各銘柄の投資比率を最大でも全体の2%程度に抑える。成長性が高いがリスクも高いバイオテクノロジー銘柄などは0.3%程度にとどめるなど、徹底した銘柄分散を心掛けている。米S&P500種株価指数などのように超大型銘柄の構成比率が高いと、これらの銘柄の値動きが全体に大きな影響を及ぼしリスクの高いポートフォリオになりかねない。この運用ではそうしたリスクを低減した運用をめざしている」
■景気回復、中小型株に投資妙味
――なぜ今が米国中小型株式の絶好の投資機会なのでしょうか。
「過去10年の動きからみると、米国の中小型株式の割安感が大型株式に比べて非常に強まっている。さらに米国経済については今年中に底を打ち、来年には回復局面に入ると予想している。これまで景気が大底から回復に向かう局面で中小型株式がアウトパフォームする傾向がみられたため、今後はより高いリターンが見込める中小型株式に投資妙味がある」
――銘柄選定で重視する点は何ですか。
「まず経営陣が企業価値を高める行動に取り組んできたかを重視する。競合他社よりも優れた成果を上げているか、収益率が大きい事業や参入障壁が高いサービスを展開しているかなどで本質的な価値を判断する。また財務状況が健全かどうかも精査する。景気後退局面などで、その後の事業拡大の機会を逃さぬよう、きちんと資金を確保できているかは重要な判断基準となる。中小型株は企業買収が多く、買収対象になり得るかにも注目している」
「さらにクオンツチームの分析からグロース寄りにするかバリュー寄りにするかを、ESG(環境・社会・企業統治)専任のチームの分析から各企業の環境上・ガバナンス上のリスクがないかをそれぞれ判断をして銘柄を選ぶ。リスク管理部門の分析をもとに景気シナリオごとのリスクについても考慮する。このようにして選定した企業を、その株価が割安になったタイミングで組み入れるようにしている」
「中小型の企業はその数が多く、ビジネスも多種多様に及ぶ。それだけに十分な企業調査が行われず、市場には隠れた事実や非効率性がたくさん存在する。これに対し、ティー・ロウ・プライスには米国でトップレベルの数の中小型株式専門アナリストが在籍しており、年間約1300社に調査訪問や対話を行う。質の高い企業分析と情報収集ができる環境が整っているため、約150~250もの銘柄での運用が可能となっている」
■大型株一辺倒の投資家、期待リターン改善も
――このファンドをどのような投資家に活用してほしいですか。
「長期保有でリターン確保をめざす個人投資家に活用してほしい。特に中小型株式に着目してこなかった投資家こそ、大きな分散効果を得やすい。足元の米国市場では中小型株式が大型株式と比較して過去20年来で最も割安な水準にあり、長期的にみると経済成長を反映して優れたパフォーマンスが期待できる。これまで大型株一辺倒だった投資家は、当ファンドを組み入れることで分散効果によるリスク抑制を図りつつ、期待リターンの改善が見込めるだろう」