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プーチン統治激震、同郷盟友の造反で不確実性 LA発ニュースを読む

米国時間の23日金曜日夕方。外出から戻るとウクライナ生まれロシア育ちの妻がスマホを片手にテレビ画面に見入っていた。「モスクワが大変」。ロシアで普及したSNS「テレグラム」のチャンネルがモスクワ市内の厳戒態勢を伝え、ロシア国営放送の画面下に「まもなく緊急発表」と表示されていた。リビングルームのテレビはロシア首都中心部に向かう多数の戦車と装甲車を映し出していた。CNNとMSNBCは36時間以上にわたりロシア情勢のみを放送した。タイタニック号探索潜水艇をめぐるニュースからロシア発ニュース一色に変わった。

ロシアの民間軍事会社ワグネルが反乱を起こした。指導者のプリゴジン氏は、ウクライナ戦争はロシア国防省の嘘が根拠であり正当化できないと約30分の動画で主張。ワグネルの兵士がロシア軍に大量虐殺されたとして、ロシアの南方軍事拠点であるロストフナドヌーを占拠。首都モスクワに進軍する意向を示した。ロシア国営テレビは「プリゴジン氏のビデオを視聴するな」とする国防省の声明を緊急放送。モスクワ市内の幹線道路に厳重な検問所が多数設置された。プーチン大統領は国民向けテレビ演説で1917年のロシア革命を引用し、プリゴジン氏は「裏切り者」と非難。FSB(ロシア連邦保安庁)はプリゴジン氏の刑事訴追に動いた。

プリゴジン氏が「正義の行進」と呼ぶワグネルの進軍がモスクワの南部200キロメートルに到達した頃、事態は大きく動いた。プリゴジン氏は「軍を引きあげる」と突然発表。ペスコフ大統領報道官は、プリゴジン氏に対する刑事訴追を取り下げる方針を示した。ロストフから撤退するプリゴジン氏は市民から称賛を浴び、「ロックスター」のようだった。隣国ベラルーシのルカシェンコ大統領の仲介で流血の惨事は回避されたが、ロシアの急変は多くの疑問を残す結果になった。プーチン大統領はなぜ態度を転換したのか。プリゴジン氏が得たものは具体的になにか。プーチン大統領の所在は明らかにされていない。

プリゴジン氏は1961年サンクトペテルブルグ(旧レニングラード)生まれ。プーチン大統領と同郷だ。ロシアの独立系メディアのメドゥーザによると、プリゴジン氏は窃盗罪などで1981年から9年間を刑務所で過ごした。服役後にホットドッグ店で成功し、レストランとコンビニエンスストアを展開する実業家になった。プーチン大統領と親交を深め「プーチン大統領のシェフ」と呼ばれた。「汚れ役」としても知られ、実業家ながらウクライナのほか、アフリカやシリアにおけるロシア軍の戦闘に関与した。インターネット情報会社を起業、SNSを多用するなど情報発信の巧妙さで定評がある。

ニューヨーク・タイムズ紙は、安全保障を担当する米政府高官が21日にプリゴジン氏が行動を準備中との情報を得てホワイトハウスに21日中に報告していたと報じた。ワシントン・ポスト紙によると、プーチン大統領の統治とロシアの核管理の異変を過去2週間にわたり米政権が警戒していたが、時期は特定できていなかったと報じた。

ブリンケン米国務長官は25日、米ABCの報道番組で、16カ月前にウクライナの首都キーウ攻撃を開始したロシアの首都が危険にさらされる重大イベントとの認識を示した。傭兵の乱は「プーチン大統領の権力の深刻なひび割れを示した」と語った。英フィナンシャル・タイムズは、プリゴジン氏との合意で危機は回避できたが、プーチン政権安定に重大な疑問が投げかけられたと解説した。米ウォール・ストリート・ジャーナル紙は25日付社説で、プリゴジン氏による内乱がウクライナ戦争の失敗を露呈したと伝えた。

ウクライナの英字紙キーウポストは、ロシアの統治が崩れカオス状態、ロシア情勢が予測不能になったとするゼレンスキー大統領の発言を報じた。23年にわたるプーチン政権の最大の危機。ソビエト崩壊につながった1991年のクーデターと比較する欧米メディアも少なくない。プーチン大統領の次の行動は憶測の域を出ない。ベラルーシに亡命すると伝えられたプリゴジン氏とワグネル傭兵2万5000人にも不確実性がある。AP通信は、「プリゴジン氏は短期的に負けたかもしれないが、プーチン大統領は長期的なルーザー(敗者)になる可能性が高い」とするスコットランドのセントアンドリュース大学の教授のコメントを伝えた。事態が大きく動く可能性があり、米国と欧州の同盟国はロシア情勢の行方とウクライナ戦争への影響を注視している。 

 

 

(このコラムは原則、毎週1回配信します)

福井県出身、慶應義塾大学卒。1985年テレビ東京入社、報道局経済部を経てブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長を歴任。ソニーを経て、現在は米国ロサンゼルスを拠点に海外情報を発信する。


 

著者名

松島 新


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