日本企業の景況感が改善している。QUICKが16日に発表した8月の「QUICK短期経済観測調査」(QUICK短観)で、製造業の業況判断指数(DI)は前月調査から10ポイント改善のプラス12だった。2022年9月調査以来、約1年ぶりの高水準となった。全産業のDIは3ポイント改善し、プラス26だった。
雇用人員が「過剰」と答えた割合から「不足」の割合を引いた雇用人員DIは、製造業で10ポイント悪化のマイナス27となった。非製造業では1ポイント改善したものの、マイナス56と依然低い水準にとどまる。インバウンド(訪日外国人客)の増加などで本格的に経済が再開するなか、企業の慢性的な人手不足が続いている。
QUICKは毎月、全国の証券取引所に上場する企業を対象に業況や事業環境に関するアンケートを実施し、結果をQUICK短観としてまとめている。8月調査は8月1日から10日まで実施し、236社が回答した。
有報で非財務情報の開示始まる 「事務負担重く」6割、「有用」は3割
話題のトピックについて聞く特別調査では、有価証券報告書で人的資本や気候変動対応など非財務情報の記述が義務付けられたことについて、企業の立場からどう思うかを聞いた。最も多かったのは「開示項目の増加で事務負担が重くなる」で、57%を占めた。「投資家に多面的な投資情報を提供できるため有用」が30%、「市場からの評価につながる開示の拡充とはいえない」は12%だった。
自由記述のコメントでは「非財務情報発信の充実に対して異論はないが、種々報告での発信が増える一方である」といった意見があった。開示項目の拡充自体は一定の評価を得ているものの、事務負担増加への懸念は強いようだ。
(QUICK Money World 中田真裕)