【QUICK Money World 辰巳 華世】株式投資を初める投資家が増え、高配当株に注目が集まっています。今回は、高配当株とは何かという基本的な説明から、高配当株のメリットや、高配当株を購入する際の注意点、優良な高配当株の見極め方、初心者が避けたい高配当株などを紹介します。
■高配当株とは
高配当株とは、配当利回りが高い株のことです。高配当銘柄とも呼ばれています。配当とは、企業が得た利益の一部を株主に還元するお金のことです。
一般的に、業績の良い企業は、年に1回から2回の配当を実施します。ただ、すべての銘柄が配当をするわけではありません。また、配当を実施している企業でも、毎年必ず配当があると約束されているわけでもありません。業績などによって配当は増えたり、減ったり、無配になったりと状況は変わります。なお、少数ですが、四半期ごとに年4回配当を支払う方針を掲げる上場企業もあります。
高配当株や高配当銘柄であるかの判断には、配当利回りに注目します。配当利回りとは、購入した株価に対して一年間でどれだけの配当を受け取ることができるかを示したものです。
<配当利回りの計算式>
配当利回り(%)=1株当たりの年間配当金額÷1株購入価格×100
例えば、年間配当金が2400円の銘柄を株価6万円の時に購入すると、配当利回り4%になります。
では、いったいどれくらいの利回りからが高配当銘柄と呼ぶのでしょうか。計算式から分かるように、配当利回りは、分母が株価なので株価が下がると相対的に利回りが高くなる傾向があります。株価が下落したことで、利回りが高くなることもあるので、一概に何%以上あれば高配当銘柄と決めることは難しい側面はあります。
ただ、東証プライム全体の予想配当利回り(加重平均)は、2.21%(2023年9月1日)であり、この水準を上回っていれば平均以上であるとみることはできます。一般的に配当利回りが3〜4%以上の銘柄は、高配当銘柄であるとみる傾向があります。
■高配当銘柄のメリット
高配当銘柄のメリットについて見てみましょう。高配当銘柄のメリットには、大きく分けて「高い配当が得られる」、「値動きが緩やかである」、「株価が下落しても底値がある程度決まっている」の3点があります。
高い配当金が得られる
高配当株の大きなメリットは、高い配当金が現金で得られることです。長期間保有すれば、定期的に配当金が入ることになります。高配当銘柄を保有すれば労働収入以外の不労所得を確保することができます。
値動きが緩やかである
一般的に高配当株は値動きが安定している傾向があります。多くの投資家が配当目的で株を購入するので、一定の需要が見込めます。高配当株は、下落幅があまり大きくないという点で、心理的に安心して買いやすい側面があります。
株価が下落しても底値がある程度決まっている
一般的に高配当株は、配当狙いで買いたい投資家が多い銘柄であるため、株価が下落した局面では、安い値段で買いたいと思う投資家が多く、一定の買いが見込めます。そのため、下落時に目先の底値が限定的であることが多いです。
高配当銘柄には上記の様なメリットがあります。ただ、配当利回りが高いすべての銘柄にこういったメリットがあるわけではありません。メリットがある高配当株を探すには、ただ利回りの数字だけで銘柄選別するのではなく、企業の業績や配当状況など総合的に判断して銘柄を見極めることが必要になります。
■高配当株を購入する際の注意点
ここでは、高配当株を購入する際の注意点について紹介します。高配当株を購入する際に注意すべき点は、大きくわけて「配当金にも税金がかかる」「キャピタルゲイン(売却益)が見込みづらい」、「減配・無配リスクがある」の3点が考えられます。
配当金にも税金がかかる
配当金にも税金がかかります。個人の配当金に対する税率は、20.315%(所得税・復興特別所得税15.315%、住民税5%)です。
配当金を受け取る際に源泉徴収されています。なので、仮に配当金が1万円であれば手元に入る金額は約8000円程度です。
非課税制度のNISA(少額投資非課税制度)などを通じて投資した高配当株の配当金には税金はかかりません。ただし、配当金の受取方法を株式数比例配分方式を選ぶ必要があります。
減配や無配のリスクがある
冒頭でも説明した様に配当は約束されたものではありません。企業の業績によっては、配当を減らす減配や配当をゼロにする無配にする可能性もあります。高配当を見込んだものの、それが減ったりなくなったりするリスクがあります。
キャピタルゲイン(売却益)が見込みづらい
高配当株は、株式を売却して利益を得るというよりは配当を狙って購入することが多いです。長い間保有し定期的な配当を狙う投資家もいますし、一方で、期末などに配当の権利獲得を狙って購入し、権利獲得後はすぐにその株式を売却する投資家もいます。配当を狙った一定の買い需要も見込めますが、権利獲得後の一定の売り需要もあります。一般的に高配当株は、株価の値動きが安定している傾向があり、大きな株価上昇を期待しづらい側面もあります。
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■今後優良な高配当株の見分け方
ここでは、今後優良な高配当銘柄の見分け方について考えてみましょう。買うべき高配当株について「長期間利益が上昇傾向」、「事業内容に将来性がある」、「配当性向50%以下」などがあります。
長期利益が上昇傾向
一般的に業績が良い企業は、安定的に配当を実施します。高配当株を見分けるには、業績の確認は必須です。業績が安定していることに加え、長期的な業績の推移を確認し、長期間利益が上昇傾向であることを確認すると良いでしょう。
事業内容に将来性がある
業績が伸びるには、事業内容に将来性があるかどうか見極めることも大切です。直近の決算説明資料を確認したり、中期経営計画など今後の事業展開、海外展開の予定など事業内容の将来性を調べるのが良いでしょう。
配当性向50%以下
配当性向とは、当期利益に占める年間の配当金の割合を示す指標です。一般的に配当性向の高い株は、投資家に配当を多く出しており、低い銘柄は、利益を内部留保や投資に回していると言えます。
配当性向50%以下など低い銘柄で、利益を企業の成長のために使っている企業であれば、将来的にその投資が花開き業績が拡大して配当金の増額が期待されます。
■初心者が避けたい高配当株とは
高配当株を選ぶには、ただ配当利回りの数字だけで判断するのではなく、企業の業績や将来性など総合的な判断が必要になります。ここでは、初心者が避けた方が良いと思われる高配当株について見てみましょう。
利回りが高すぎる
利回りが高すぎる銘柄は避けたほうが良いしょう。冒頭説明した様に配当利回りは、配当利回り(%)=1株当たりの年間配当金額÷1株購入価格×100で計算します。配当利回りは、年間配当金の増減もそうですが、分母である株価の値動きに大きく影響されます。
年間配当金が変わらなくても、株価が下落すれば、配当利回りが上昇します。数字上では利回りが上昇しており、優良銘柄の様に感じますが、業績が悪化し株価が下落した可能性もあります。業績が悪化している場合、状況次第では翌年に減配や無配になるリスクもあります。なので、あまりに利回りが高すぎる銘柄については初心者は避けた方が良いかもしれません。
配当性向が100%以上
配当性向が100%以上とは、当期純利益を超えた金額の配当を出していることになります。その年の利益以上の配当を出すということは、会社からお金が流出している状況であり、無理をして配当をしており、必ずしも良い状態とは言えません。1年だけなど短期間であれば、これまで蓄えた利益を使って配当をすることも可能かもしれませんが、長期間この状態を維持することは難しいです。つまり、翌年以降、減配となる可能性が高い銘柄と考えられます。
赤字が続いている
赤字の企業でも過去に蓄えた利益などを使って配当を実施することが可能です。ただ、一般的に配当は、企業が利益の一部から実施するものです。1年など短い期間であれば赤字でも配当は考えられますが、赤字が続くと、安定的に配当を継続することが難しくなります。なので、赤字が続いている銘柄は減配や無配になる可能性が高いです。
配当額が突然増えている
仮に株価が一定で、配当額が増えると配当利回りが上昇します。配当額が突然増えると利回りは上昇する傾向があります。一見すると良いことの様に感じますが、配当が増えた理由を確認することが大切です。安定的な業績拡大により配当が増えたなら良いですが、特別利益などが要因で利益が増え増配となると、その増えた配当は一時的な可能性があります。翌年には特別利益の要因がなくなり、もとの水準に配当が戻る可能性もあり、減配となる可能性があります。
■まとめ
高配当株とは高配当銘柄とも呼ばれ、配当利回りが高い銘柄を指します。ただ、配当利回りが高いからと言ってすべてが高配当株と判断できるわけではありません。優良な高配当株を見極めるには、配当利回りの数字だけでなく、業績の推移や今後の事業の将来性など総合的に判断することが大切です。
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