新しい少額投資非課税制度(NISA)が始まった2024年。年明けから投資信託への資金の流れが極端な動きを見せている。コストが安い特定のインデックス型(指数連動型)に資金が一極集中しているのだ。「全世界株(オール・カントリー)」と「米S&P500」がツートップに立ち、他のファンドを大きく引き離している。
1月18日時点で運用中の国内公募追加型株式投信は、上場投資信託(ETF)を除いて5449本ある。年初来資金流入額(1月4~18日のQUICK推計値)は全部あわせて6150億円だった。このうち全世界株式指数の「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」に連動するタイプは13本しかないが、年初来資金流入額(同)は2740億円(投信全体の44.6%)にのぼる。「米S&P500種株価指数」との連動を目指すタイプは28本で2173億円(同35.3%)を集めた。この2種類あわせて投信全体の資金流入の約8割を占めたことになる(図表1)。
特に全世界株連動型では三菱UFJアセットマネジメントの「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」、米S&P500連動型では同じシリーズの「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の人気が際立つ。前者の年初来資金流入額(同)は2427億円(図表2、投信全体の39.5%)、後者は1435億円(同23.3%)まで膨らんでいる。
それぞれ同じタイプの他のファンドと比べてみても、年初来資金流入額は断トツ。図表2にはタイプ別に資金流入額5位まで並べたが、どちらも2位以下に大差をつけた。全世界株連動型の2位は昨年10月に楽天投信投資顧問が新規設定した「楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド<愛称:楽天・オールカントリー>」の241億円。米S&P500連動型でも2位は同じシリーズの「楽天・S&P500インデックス・ファンド<愛称:楽天・S&P500>」の298億円だった。