三菱UFJアセットマネジメントが運用する「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(オルカン)への資金流入が急増している。1月の資金流入額(推計値)は3439億円となり、前月(確報値で1086億円)の3倍超に膨らんだ。月次ベースでは2018年10月の設定来で最も多い。
1月の「オルカン」の資金流入額は、国内公募の追加型株式投資信託(上場投資信託=ETF=を除く)の中でも断トツ。2位は「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の2090億円で、このファンドも18年7月の設定来で最高を更新した。3位は「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)<愛称:世界のベスト>」の514億円だった。
「オルカン」は日本を含む世界の株式に幅広く投資できるファンド。値動きがわかりやすいインデックス型(指数連動型)で、業界最低水準の運用コストを目指し続ける「eMAXIS Slim」シリーズの1本だ。最近は特に全世界株ファンドの人気が高まっており、1月からの新しい少額投資非課税制度(NISA)の開始とともに「オルカン」への資金流入ペースが加速した。
QUICKのデータで過去にさかのぼってみても、ひと月にこれだけ資金が流入した例は少ない。歴代1位は2000年2月の「ノムラ日本株戦略ファンド<愛称:Big Project-N>」で1兆119億円、2位は20年7月の「グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし)<愛称:未来の世界(ESG)>」で4094億円だった。
「オルカン」はこの2本に次ぐ歴代3位だが、設定から5年以上たってからのタイミングは珍しい。証券会社などは目新しいファンドの販売に力を入れる傾向があり、一般的には設定当初に資金が集まりやすいからだ。歴代1位と2位のファンドをはじめ、過去に1カ月の資金流入額が多かった例では大半が運用を始めたその月に最高額をつけている。これに対し、「オルカン」は設定後に時間をかけて運用実績を積み上げ、個人投資家から評価されたファンドとして新たな記録を打ち立てたともいえる。
日次ベースでは、年明け早々の24年1月9日に「オルカン」の資金流入額(推計値)が1日で1000億円を上回ったことが大きな話題になった。「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」も同じ日に659億円(同)の資金が流入した。大手ネット証券のNISA口座で積み立て投資などの設定が月初に重なったことが主な要因とみられている。