『見よ(34年ぶり)、砂漠行こう(38915円)の彷徨から柵を越え(39098円)帰還』
日経平均株価は2月22日に39098円になり34年ぶりに過去最高値を更新し、3月4日には初めての4万円越え(40109円)となった。円安で企業利益が膨れ上がっているおかげだとか配当込み指数ならとっくに1989年末の水準を超えていたとか冷ややかな声も聞こえてくるが、ここは素直に喜ぶことにしたい。
11日に発表された3月のQUICK月次調査<株式>によると、現在の株式相場の水準を「適正な水準」とした回答者が45%、「ミニバブル状態」が31%、「どちらかというと割安」が14%だった(全体の集計)。証券会社と投資家に分けてみると、証券会社の方が見方に幅があるようだ。
日経平均株価が3万円前後であった2023年6月調査で「1989年の高値を抜くのはいつ頃か」という質問に「超えることはない」と回答した人が16%いた。今回調査でも「根拠なき熱狂」と見る人が4%いる。1980年代後半の熱狂とその後の絶望的状況を考えると冷静な警告と受け止めておこう。
2012年以降の順調な株価上昇の最大の要因を複数回答で問うてみた。「企業収益の持続的な成長」の30%が最多票だったが、他にも20%超えが4つあった。「日銀の大規模金融緩和政策」(27%)、「長期的なデフレからの脱却」(22%)というマクロ的要因から「東証の資本コストと株価を意識した経営要請」(25%)という制度的要因もあり、「海外市場と比べた相対的な割安感」(27%)があったと考えているようだ。「資産運用立国に向けた政府の取り組み」が2%の支持しかなく、証券会社に限ると0%だったのは興味深い。この取り組みはまだ1年未満だからなのか、総花的でインパクトに欠けているのか。
資産運用立国政策の柱の一つである新NISAでは外国株式のインデックス投信に人気が集中している。今後の動向を問うてみたところ「一部が日本株に向かう」が45%で「引き続き外国株式に向かう」の38%を抑えた。ここにも証券・資産運用関係者の将来へ向けた明るさが垣間見られるのかもしれない。業界の更なる発展への布石として投資信託協会と日本投資顧問業協会の統合が検討されているが、「業界の発言・発信力の強化になるので賛成」は24%にとどまり、「特に目立った変化は期待できない」が35%、「関心がない・よく分からない」が16%で肯定的な評価は得られなかった。いずれにしろ4万円越えを契機としてインベストメントチェーンの強化と更なる株価の上昇を期待したい。
【ペンネーム:浪小僧】
調査は3月5日~3月7日にかけて実施し、株式市場関係者134人が回答した。
QUICK月次調査は、株式・債券・外国為替の各市場参加者を対象としたアンケート調査です。1994年の株式調査の開始以来、約30年にわたって毎月調査を実施しています。ご関心のある方はこちらからお問い合わせください。>>QUICKコーポレートサイトへ