前週(8月5~9日)の投資信託で、これまで人気を集めていた海外株ファンドが資金流出に転じた。国内公募の追加型株式投信(上場投資信託=ETF=を除く)のうち、海外株式型(QUICK独自の分類)は設定額から解約額を差し引いて124億円の流出超過(QUICK資産運用研究所の推計)となった。海外株式型が週次で流出超となるのは今年初めて(図表1)。
新NISA(少額投資非課税制度)が始まった1月以降、海外株式型には多くの資金が流入してきた。今年の最高は1月9~12日の4749億円。月間では毎月1兆円前後の資金が流入し、7月は1.5兆円を超える資金が流入した。
ETFを除く投信全体では、8月5~9日の1週間に1278億円の資金流入超過を維持した。日経平均連動型など国内株式型に資金が流れ込んだ。ただ、前の週(7月29日~8月2日)の4705億円を大幅に下回り、2営業日しかなかった1月の第一週(1月4~5日)の1003億円を除くと今年に入って最も少ない。
海外株式型(ETF、ラップ専用を除く)のうち、8月5~9日に資金流出が大きかったファンドを調べてみると、上位には確定拠出年金(DC)専用で日本を除く先進国の株価の動きを示す「MSCIコクサイ指数(円換算ベース)」に連動を目指すインデックス型(指数連動型)ファンドが複数ランクインした(図表2)。最近の株式や為替の相場急変を受けて、ほかのファンドなどへのスイッチング(預け替え)に動いた可能性がある。
DC専用ファンド以外では、「HSBC インド・インフラ株式オープン」や「iFreeNEXT FANG+インデックス」、「野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)」など、このところ人気が高まっていたファンドからの資金流出が目立った。
前週7日に日次ベースで資金流出となった「eMAXIS Slim」シリーズの「米国株式(S&P500)」と「全世界株式(オール・カントリー)」(通称:オルカン)は、それぞれ週次で128億円と486億円の資金流入超だった。月初に集中するクレジットカードによる積み立てなどの資金が入り、週次ではプラス(流入超)を守った。
両ファンドを運用する三菱UFJアセットマネジメントは、8日に受益者向けのリリースを発信。長期投資の意義を説くとともに、同時点での資金動向について「ここ数日、解約額は一時的に増えたが、設定額はこれまで通りの水準で推移している」と説明していた。
◇三菱UFJアセットマネジメントのリリース(8月8日付)はこちら
マーケティング部門長からのメッセージ ~相場変動を乗り越え、長期投資を実践する~