米ナスダック市場で「DJT」の上昇が目立つ。トランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループのティッカーシンボルだ。共和党大統領候補のトランプ前大統領のSNS「トゥルース・ソーシャル」を運営する会社だが、14日の取引で18.5%急伸。先週は商いを伴って前週末比で5割超上昇した。
分散型予測プラットフォーム「ポリマーケット」が示唆する米大統領選の勝率は、14日時点でトランプ氏が約55%と、民主党候補のハリス副大統領を10ポイント超上回る。政治イベントの予想に賭ける「プレディクトイット」の勝率は、トランプ氏54%に対しハリス氏は49%。トランプ支持者と個人投資家が主に買っているとみられるトランプ・メディア株の急伸は、トランプ氏復権期待の高まりが背景。防衛株や金融株が買われるなど、7月にみられた「トランプ・トレード」が再び勢いづいた。ブルームバーグ通信によると、ゴールドマン・サックスは、トランプ氏勝利で上昇が予想される銘柄で構成されるバスケットが最大8%上昇すると予想した。
有権者を対象にした調査は過去に例のない接戦を示唆。NBCの最新調査では全米ベースの支持率がいずれも48%、CBSの激戦7州を対象にした調査はハリス氏50%に対しトランプ氏は49%とほぼ並んだ。有権者が経済に強い不満を抱いていることがABCの調査でわかった。9月の消費者物価指数(CPI)は「粘着質のインフレ」を印象づけた。ニューヨーク・タイムズ紙は、ハリス氏がヒスパニック(中南米系)の支持獲得に苦戦していると報じた。チェンジ(変化)を求めているとしている。CNNは、ハリス氏に否定的な感情が有権者の間で高まりつつあると伝えた。
バイデン政権は生活費危機の3年半だったといえる。住居も食料品も保険も。あらゆる価格が高すぎると多くの有権者が感じている。トランプ氏はインフレ問題をSNSに積極的に投稿し攻撃。ハリス氏は主に中間層を対象にした経済政策を複数打ち出したが、新鮮味に欠ける印象をぬぐえないでいる。
大統領選まで3週間。有権者に郵便投票用紙が郵送され、選挙は事実上はじまった。投資家はトランプ氏優勢に傾いているようにみえるが、まだ予断を許さない。JPモルガンのウェルスマネジメント部門のストラテジストは11日のメモで、どちらかの候補が勝利宣言するまで、高いボラティリティーは続く可能性が高いとコメントした。
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福井県出身、慶應義塾大学卒。1985年テレビ東京入社、報道局経済部を経てブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長を歴任。ソニーを経て、現在は米国ロサンゼルスを拠点に海外情報を発信する。