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ホーム 記事・ニュース 怒りが動かした米選挙、ドル高・ビットコイン高・テスラ株高の反応(米大統領選コラム)LA発ニュースを読む 

怒りが動かした米選挙、ドル高・ビットコイン高・テスラ株高の反応(米大統領選コラム)LA発ニュースを読む 

「CNNの放送がお通夜になっている」。ハワイに住む知人がSNS(交流サイト)に投稿。民主党大統領候補ハリス氏の得票が伸びず、CNNの司会者が衝撃を受けたとニューヨーク・ポスト紙は伝えた。CNN同様にハリス氏寄りのニューヨーク・タイムズは、「トランプの嵐が戻った」との見出しで、不確実性の高い暗黒時代が始まると報じた。トランプ氏に近いFOXニュースは、「トランプ次期大統領が米国の黄金の時代を誓った」と対照的に報じた。僅差とされたが、結果はトランプ氏の圧勝。バイアスのある主要メディアと提携する世論調査より、お金を賭けたサイトの方が正しかったとの指摘が少なくなかった。

選挙の日。ロサンゼルス市内の近所を散歩すると「トランプ支持」の旗を窓に付けたクルマに目が留まった。カリフォルニア州は「青い州(民主党優勢の州)」。共和党のトランプ氏を応援するサインを初めてみた。トランプ氏の政策に共感しているのか、民主党を嫌った可能性もある。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は4日、「カリフォルニア州がトランプ氏を勝利に導くか」と題する社説を掲載。カリフォルニアからアリゾナやネバダに移住する人が急増、高い税金や進歩的政策から逃れた移住者は共和党支持者になったとしている。ディシジョン・デスクHQによると、米西部時間6日午後2時時点で激戦州のネバダはトランプ氏が勝利、アリゾナでもトランプ氏が優勢。ウォール・ストリート・ジャーナルの指摘通りになった。

米議会予算局が先月発表した報告書によると、米国の裕福な上位10%の世帯が国の富の60%を支配。下位50%は6%しか保有していない。ハリス氏は低所得者や中間層の経済支援策を表明したが、現政権への不満を抑えるには不十分だったのかもしれない。CNBCによると、激戦州で手が届く価格の住宅が4年前と比べ大幅に減少した。バイデン大統領就任前と比べ、モノとサービスの価格水準は異常といえるほど上がった。生活が苦しい。ワシントン・ポスト紙は、経済に対する有権者の怒りがトランプ氏勝利を導いたと解説した。

歴史的とされた米大統領選の結果を、金融市場は教科書的といえる反応を示した。米国債利回りは大幅上昇。外国為替市場はドル全面高の展開、円とユーロは大幅安。「暗号資産大統領」を自称するトランプ氏の勝利でビットコイン、イーサリアム、ソラナなど幅広い暗号資産(仮想通貨)は急上昇。米株式市場では、トランプ氏に巨額の献金をしたイーロン・マスク氏の率いるテスラが急騰。金利上昇で銀行株が幅広く買われた一方、不動産株は売られた。ファースト・ソーラーをはじめ、環境関連株は軒並み急落した。欧州市場ではBAEシステムズなど防衛株が買われ、BMWなど自動車株は売られた。トランプトレードに勢いがつき、値動きの荒い展開だった。

連邦議会選で共和党は上院も奪還した。下院も共和党が制すれば、Red Sweep(レッドスウィープ)もしくはトリプルレッド。トランプ氏の望む政策案が通過しやすくなる。当面は下院の勢力図、トランプ次期政権の主要閣僚や政策の実現性に注目が集まる。特に財務長官や商務長官の人事、関税と減税の規模がどうなるか。世界に大きく影響することは確実だ。高い関税率や非合法移民撤廃などの政策で物価がさらに上がるのだけは勘おら弁してほしい。米国人の多くがそう望んでいる。

 

 

福井県出身、慶應義塾大学卒。1985年テレビ東京入社、報道局経済部を経てブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長を歴任。ソニーを経て、現在は米国ロサンゼルスを拠点に海外情報を発信する。 

著者名

松島 新


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