QUICK Money World(マネーワールド)

個人投資の未来を共創する
QUICKの金融情報プラットフォーム

ホーム 記事・ニュース FOMCとは何か マーケットへの影響をわかりやすく解説、日程や予想もチェック

FOMCとは何か マーケットへの影響をわかりやすく解説、日程や予想もチェック

記事公開日 2024/12/5 16:30 最終更新日 2024/12/5 16:30 経済・ビジネス コラム・インタビュー 市場用語再点検 金融コラム

FOMC_gold text fomc or Federal Open Market Committee for business concept 3d rendering

【QUICK Money World 辰巳 華世】

FOMCとは何か 注目ポイントは?

FOMC(連邦公開市場委員会)とは、「Federal Open Market Committee」の略で、米連邦制度準備理事会(FRB=Federal Reserve Board)が開く米国経済を安定させるために金利など米国の「金融政策」を決定する会合のことです。

FRBは米国の中央銀行としてお金の流れを管理する重要な役割があります。特に多くの人が仕事を持てるように「雇用」の安定と、インフレやデフレを防ぐ「物価」の安定を目指しています

FOMCは議長を含む7人のFRB理事と、残りの5人は米国に12地区ある連邦銀行総裁から選出されます。この12人が投票権をもち、政策決定は多数決を原則としています。ニューヨーク連邦銀行総裁を除く4人の連邦銀行総裁は持ち回りで、1年を任期として交代します。年に8回会議を開いて経済の現状を分析し、政策金利を上げるか下げるかを決定します。緊急時にも開催できます。

FOMCでは、主に3つの金融政策を用いて米国経済を安定させています。「公開市場操作」・「政策金利の操作」・「預金準備率の操作」です。これら3つの金融政策は、金利、お金の量、流れをコントロールするための方法で、経済の状況に応じて使い分け、インフレを抑えたり、景気を支えます。

25年1月に米大統領に就任するドナルド・トランプ氏の動向を金融市場は注視しています。トランプ氏はFRBの金融政策に関して、大統領が発言権をもつべきであると発言した経緯があり、第2次トランプ政権がFRBの独立性を揺るがすのではないかと警戒されています。

 

公開市場操作

市場に出回るお金の量を調整する政策です。市場で国債や他の証券を売買することで調整します。

景気を刺激したい時には、国債などを買うオペ(公開市場操作)を実施し、市場にお金を流します。これを「量的緩和」と言います。銀行は資金が増えて結果的に企業や個人がお金を借りやすくなり経済活動が活発になります。

景気の過熱を抑えたい時には、国債などを売るオペを実施し、市場からお金を吸収します。これを「量的引き締め」と言います。銀行が貸すお金が減り、消費や投資が抑えられることになります。

政策金利の操作

  FRBが政策金利を使って、金利を上げ下げする政策です。米国の政策金利は、短期金融市場で金融機関同士が翌日までの資金を融通し合う際に用いるフェデラルファンド(FF)で、他の金利にも大きな影響を与えます。

利上げすると、金利が上昇し借り入れが難しくなるため、消費や投資が減り、インフレを抑える効果があります。物価が上がりすぎるのを防ぎます。

利下げすると、借り入れがしやすくなり、消費や投資が増え、景気を刺激します。経済が停滞しているときなどに使われます。

預金準備率の操作

金融機関が受け入れた預金残高のうち、中央銀行に預け入れることが義務付けられている比率を操作する政策です。

預金準備率の引き上げは、銀行はより多くのお金をFRBに預けなければならないので、その分貸し出しに使えるお金が減り、経済を引き締めることになります。

預金準備率の引き下げは、銀行は多くのお金を貸し出せるようになり、経済が活発になります。

FOMCでは当日の決定事項だけでなく、今後の金融政策や経済の見通しに対する情報にも関心が集まります。特に「FOMC議事要旨」、「政策・経済見通し(SEP)」、「ドットチャート」の3つが注目されます。

FOMC議事要旨

FOMCの3週間後には、議事録の要約版である「FOMC議事要旨」が公表されます。議事要旨には、FOMC参加者の意見や経済に対する評価が記録されています。今後の金融政策の先行きを予測するのに重要な資料として注目されています。

政策・経済見通し(SEP)

政策・経済見通し(SEP)は、参加者が予測するGDP成長率、失業率、インフレ率などの経済指標の推移を数値で表します。経済予測に基づく政策の方向性がわかります。将来の経済見通しや金利政策の予測する資料として注目されます。

ドットチャート

ドットチャートは、今後の政策金利の予測を示した散布図です。参加者の金利見通しを点(ドット)で表し視覚化しています。今後の金利動向を予測するのに役立ちます。

こちらのサイト(外部サイトに遷移します)で政策金利やドットチャートの推移を見ることができます。

 

FOMCのマーケットへの影響

FOMCの金融政策の決定は、米国だけでなく世界中の市場に大きな影響を与えます。

例えば、利上げをした場合、実体経済や物価への影響として経済の過熱やインフレを抑える効果があります。金利が上昇し企業や個人が借り入れをするコストが増えることになります。消費や投資が抑制され景気の過熱を抑える形になります。

外国為替市場では、利上げはその国の通貨価値を押し上げます。一般的に金利が上昇すると海外からの投資が増えるので、ドル高となります。

一方、利下げした場合、実体経済や物価への影響として経済を活性化しやすくなります。企業や個人の借り入れコストが下がるので、消費や投資が増えます。

外国為替市場では、利下げはその国の通貨価値を下げます。低金利だと海外の投資家は他国に資金を移す傾向が強まるので、ドルの価値が下がりドル安になります。

FOMCの決定が市場予想と大きく乖離した場合の影響も大きいです。

予想以上の利上げや予想以上の利下げが行われると、為替や株式などの市場に大きな影響を与えます。為替や株式などの市場では、たとえば「今回は0.25%の利上げがありそうだ」などの予測をある程度事前に織り込んで推移しています。そのため、予想外の結果が出た場合、サプライズとして株価が急激に変動したり、為替レートが大幅に動くことがあります。急激な変動によりリスク回避の動きが強まり、株式や為替相場の乱高下を引き起こすことがあり注意が必要です。

FOMCは日経平均株価や日本株にも大きな影響を与えます。米国の金融政策の変更により、為替が円高や円安になることで株価も変動します。また、グローバル投資家の資金の流れも変わってくるので日本のマーケットも敏感に反応します。

<関連記事>

QUICK Money Worldには、マーケットニュースや資産運用に役立つ情報をはじめ、会員登録しなければ読めない記事があります。ご興味がある方は無料会員登録をしてみてはいかがでしょうか。メールアドレスの登録だけでなく、Googleアカウント・Apple ID等でも登録できます。詳しくはこちら ⇒ 無料で受けられる会員限定特典とは

読める記事がもっと充実!無料会員登録バナー

金融市場のFOMC予想も重要

金融市場にとってFOMCの決定は注目すべき材料です。そのため、金融市場では、FOMCに関する予想は投資家の関心を集めます。特に注目される予想は、次回のFOMCで金利を上げるか、下げるか、または据え置くのかです。また、直近のFOMCだけでなく、年内にあと何回利上げや利下げをする可能性があるのかという見通しも注目されます。

さまざまな専門家や機関などがFOMCの予想を発表しています。FRBの金融政策の動向などを予測するFedウォッチャーと呼ばれるエコノミストや投資アナリストなどが予測を発表します。金融機関や投資銀行なども独自の分析に基づいて予想を公表しています。24年9月には、著名なFedウオッチャー、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のニック・ティミラオス記者が同紙記事でFRBによる大幅利下げの可能性に言及した事例もあります。記事の配信がFOMC開催直前だったこともあり、金融市場に動揺を与えました。

FOMCの予想は、市場での予想が変わるだけでマーケットに大きな影響を与えます。たとえば、経済指標などが予想外の結果となり、市場で「次回のFOMCで利上げの可能性が高まる」という予想に変化すれば株式や為替相場はすぐに反応します。

FOMCの予想をチェックすることはとても大切です。市場の予想をチェックする方法はいろいろあります。Fedウォッチャーと呼ばれるアナリストや金融機関のレポートをチェックするのも一つの手です。QUICK Money Worldの記事を活用するのもおすすめです。一人のアナリストの予想だけでなく、さまざまな予想をもとにした記事を配信していますので参考にしてみてください。

>「米連邦準備理事会(FRB)」の記事・ニュース一覧はこちら

今後のFOMCの開催日程

今後のFOMCの開催日程は以下の通りです。基本的には年8回のFOMCが予定されています。金融政策の発表時刻は会合終了日の米東部標準時間の午後2時に固定されています。米国はサマータイムを導入しているので、夏時間と冬時間で日本時間での金融政策発表や記者会見の時間が変わります。

冬時間の11月、12月、1月の金融政策発表は、日本時間翌午前4時・記者会見は同午前4時半予定です。

夏時間の3月、5月、6月、7月、9月、10月の金融政策発表は、日本時間翌午前3時・記者会見は同午前3時半の予定です。  

【2024年のFOMC(連邦公開市場委員会)の開催日程】

開催回 開催日
第8回 12月17日~18日

【2025年のFOMC(連邦公開市場委員会)の開催日程】

開催回 開催日
第1回 1月28日~29日
第2回 3月18日~19日
第3回 5月6日~7日
第4回 6月17日~18日
第5回 7月29日~30日
第6回 9月16日~17日
第7回 10月28日~29日
第8回 12月9日~10日

まとめ

FOMCは、FRBが開く米国経済を安定させるために金利などの「金融政策」を決める最高意思決定機関です。基本的には年8回会合があり、緊急時も開かれます。FOMCの政策決定だけでなく、その後発表される議事要旨など今後の金融政策や経済の見通しに対する情報も注目されます。FOMCは世界中のマーケットに影響を与える大きなイベントなので注目しましょう

「QUICK Money World」の有料会員になると、企業の開示情報、プレスリリースをメールで受け取れます。提供情報をもとにマーケット予想や企業分析まで行いたい方にピッタリです。メールアドレスの登録だけでなく、Googleアカウント・Apple ID等でも登録できます。詳しくはこちら ⇒ 有料会員限定特典とは

男性有料会員登録バナー

著者名

QUICK Money World 辰巳 華世

2003年にQUICKに入社後、15年間勤務。約5年にわたり日本経済新聞社、日経QUICKニュース社(NQN)にて記者職に就く。QUICK退社後、フリーランスライターとして2020年より「QUICK Money World」に寄稿。


ニュース

ニュースがありません。

銘柄名・銘柄コード・キーワードから探す

株式ランキング

コード/銘柄名 株価/前日比率
1
4911
資生堂
2,667
-0.07%
2
2,700
+4.28%
3
46,300
-1.38%
4
9,580
-0.2%
5
7269
スズキ
1,944
+1.46%
コード/銘柄名 株価/前日比率
1
44
+29.41%
2
9171
栗林船
1,323
+29.32%
3
450
+21.62%
4
5612
鋳鉄管
1,885
+19.98%
5
3,090
+19.3%
コード/銘柄名 株価/前日比率
1
251
-17.16%
2
8,030
-12.71%
3
51
-10.52%
4
132
-10.2%
5
1,358
-9.7%
コード/銘柄名 株価/前日比率
1
46,300
-1.38%
2
6,734
-2.34%
3
26,275
-2.64%
4
9,580
-0.2%
5
8306
三菱UFJ
1,972.5
-1.93%
対象のクリップが削除または非公開になりました
閉じる
エラーが発生しました。お手数ですが、時間をおいて再度クリックをお願いします。
閉じる