QUICKは「アジア特Q便」と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信している。今回はフィリップ証券(香港)のルイス・ウォン(Louis Wong)氏が香港上場の中国インターネットサービス大手、騰訊控股(テンセント)についてレポートした。
テンセントが21日に2017年12月期決算を発表する。アナリスト予想では売上高は前の期比57.9%増の2398億人民元、純利益は64.6%増の676億4000万元。1株当たり利益(EPS)は57.5%増の6.9元が見込まれている。
17年1~9月期のテンセントの売上高は、前年同期比59%増の1713億元だった。スマートフォン向けゲームやPCゲームのほか、決済関連サービスやデジタルコンテンツ販売、オンライン広告もけん引した。純利益は44%増の507億元だった。テンセントの17年12月期の市場予想をもとに試算すると、第4四半期(17年10~12月期)は売上高が5.1%増の685億元、純利益が5.9%減の169億4000万元だったことになる。
この1年のテンセントの株価の推移
事業別でみると、付加価値サービス(オンラインゲームやPCクライアントゲーム、ソーシャルネットワーク関連)が引き続きテンセントの主な収益源となっている。1~9月期の付加価値サービスの売上高は前年同期比45%増の1140億元で、売上高全体の66.5%を占めた。粗利益は33.3%増の689億元で、全体の80.7%に達していた。
オンライン広告業務の売上高は50.3%増の280億元(全体の16.3%)、粗利益は32.9%増の102億5000万元(全体の12%)。決済関連業務やクラウドサービスの売上高は171.5%増の292億5000万元と大幅に伸び、粗利益も337%増の62億64000万元に拡大した。
テンセントの交流サイト(SNS)「QQ」の月間アクティブユーザー数(MAU)は17年9月末時点で前年同期比3.8%減の8億4300万人で、ブログサービス「QQ空間」のMAUは10%減の5億6800万人だった。
一方、チャットアプリ「微信(ウィーチャット)」のMAUは9億8000万人と15.8%増えた。1日当たりのメッセージ送信数は25%増の約380億件に達した。月間のアクティブ公式アカウント数は14%増の350万件、公式アカウントの月間アクティブフォロワー数は19%増の7億9700万人だ。QQユーザーの伸びが頭打ちになる一方、ウィーチャットのユーザーが引き続き増えているということが、これらのデータからうかがえる。
注意すべき点は、テンセントが売上原価について一定程度のプレッシャーを抱えているということだ。ゲームを中心とする付加価値サービス事業の7~9月期の売上原価は前年同期比73%増え169億元に上った。レベニューシェアやコンテンツコストが比較的多いことに加え、第三者との提携によってアプリケーションストアのスマートフォン向けゲームチャネルのコストが増えたことが主な要因だ。 今後いかにしてコスト増を抑えるかが、テンセントの課題となる。
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