オフショア人民元(CNH)がドルに対して売られる動きが鮮明だ。QUICK FactSet Workstationによれば3日のアジア時間に6.73CNHまでドル高元安に振れた。2017年8月以来、11カ月ぶりのドル高元安水準となる。中国人民銀行は3日にホームページ上に記事を掲載し、易綱総裁は人民元相場を「妥当で均衡の取れた水準でおおむね安定させる方針だ」との見解を示した。元安を防ぐためドル売り元買いの為替介入を示唆した格好で、オフショア人民元は6.65CNHを下回って、ひとまず元売りの動きがやや和らぐ展開となった。
過去4年の流れを踏まえると、ドル指数が上昇する局面では歩調を併せるようにCNHもドルに対して売られる傾向にあった。4月以降の急激なドル高元安は、2015年末に資本流出懸念からCNH売りが加速した局面と似ている。米中の貿易紛争懸念で中国株が弱含む一方、輸出を下支えするため中国当局が元安誘導に踏み切るとの思惑も根強く、中国人民銀としてはどこまで通貨安に歯止めを掛けるのかドル高の環境下、難しい状況となっている。(片平正ニ)
★ドル指数(青)とオフショア人民元(赤)の4年チャート
(QUICK FactSet Workstationより)
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