今年最大の政治イベント、米中間選挙まで1カ月弱。QUICKと日経ヴェリタスが共同実施した外国為替市場関係者への調査で、共和党は上院で過半数を維持するが下院では過半数を失う「ねじれ」状態になるとの予想が6割に上った。年末の円相場予想の平均は1ドル=112円80銭と足元の水準並み。ただ共和党が両院で敗北すれば105円台に上昇するとの予想も多い。
※四捨五入の関係で合計は100にならない
米上下院のねじれ予想について、三井住友アセットマネジメントの市川雅浩氏は「ねじれ議会は市場のコンセンサスとなりつつある。現実になってもリスクオフの反応は一時的」という。
ただ2年前の大統領選では予想に反してトランプ氏が勝利し、直後に円安が進む「トランプラリー」となった。リスクシナリオを踏まえる意味で、中間選挙の結果がどうなれば最も円安・ドル高に傾くか聞いた。最も多い回答が「共和党が両院で過半数を維持」(72%)だった。その場合「年内に1ドル=120円まで円安が進む」が58%あった。
逆に共和党が両院で過半数を失った場合は円高・ドル安に振れる(64%)。重要法案や予算の審議が滞るだけでなく、大統領の弾劾も現実味を増し「リスクオフ=円買い」の筋書きになる。想定される円高の上限水準は1ドル=105円(50%)だ。
マネーパートナーズの武市佳史氏は「好調な経済を考えれば米国絡みの相場波乱は想定しづらい。年末にかけてのポイントは実は欧州」と指摘する。中でもユーロ相場への影響が大きそうなのが英国の欧州連合(EU)離脱交渉の行方だ。
来年3月の離脱の条件を巡って英国とEUは11月中旬の決着を目指す。調査では、年内に何らかの形で合意するとの見方が計52%だが、合意先延ばしを予想する声も少なくない。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鹿野達史氏は交渉難航による欧州経済への影響を危惧しつつも、懸念の広がりが結果的に両者の歩み寄りをもたらし「合意なき離脱は何とか回避されそうだ」とみる。市場ではユーロについて年末1ユーロ=130円台半ばが予想の平均だ。
月次調査は9~10日に実施し、金融機関や事業会社の外為担当者96人が回答した。
(QUICKナレッジ開発本部)
※日経ヴェリタスの14日付記事を掲載。QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。Qr1などQUICKの情報端末では月次調査の詳細とヒストリカルデータをご覧いただけます。