女性の役員の起用がいっこうに進まない日本の現状を改めて示すデータが、もうひとつ増えた。QUICKが17日にまとめた6月のQUICK短観で女性役員の登用について聞いたところ、女性役員が不在の企業が全体の6割、現在おらず今後も未定という企業が全体の5割あった。
■女性役員の現状と方針
調査で、女性役員の登用についての考え方を尋ねた。「今は女性役員は不在だが今後、登用する」が11%おり、この数年でどこまで増えるかが注目される。
企業からは、「メーカーでは、内部から女性役員を登用するのは現時点では厳しい」「役員になりたいという女性が少ない」など、社内で昇格させることの難しさを指摘する声が寄せられた。女性の役員は社外取締役だけ、という企業も多いようだ。一方で、人手不足が続くことで状況が改善することを期待する声もある。
「女性活躍」はアベノミクスや安倍政権の成長戦略においても重要なキーワード。政府は20年までに上場企業の女性役員の割合を10%以上にする目標を掲げる。自民党の19年の参院選の公約には「指導的地位に占める女性の割合が3割程度」とすることが盛り込まれた。
だが実態は厳しい。国際労働機関(ILO)の報告書によれば、管理職に占める女性の割合は世界全体で27%だが、日本は12%で主要7カ国(G7)の中で最低。役員に占める女性の比率に至っては、わずか3.4%だ。東京商工リサーチが4月にまとめた上場企業約3500社を対象とした調査でも、18年の上場企業の女性役員比率は4.2%と、ほぼ同じ結果が出ている。
6月のQUICK短観は3~12日に調査を実施。上場企業312社が回答した。(ナレッジ開発本部 伊藤央峻)