QUICK編集チーム
イラスト=たださやか、写真=Sean Gallup/Getty Images
欧州中央銀行(ECB)のマリオ・ドラギ総裁が8年間の任期を終えて今月末に退任する。就任当初から欧州債務危機への対応に優先的に取り組み、南欧諸国などの沈没をなんとか回避。その後も主要国では初となるマイナス金利など大胆な金融緩和策を繰り出して市場を安心させ、その手腕は「マジック」と呼ばれた。2018年12月に金融緩和策を打ち切り、金融危機下の「非常時モード」から「平時モード」への歴史的な転換を果たしたはずだったが、米中摩擦や英国の欧州連合(EU)離脱をめぐる混乱で欧州経済は再び停滞。わずか9カ月で緩和路線への修正を余儀なくされた。
平均で「70点」、最も多い回答は「80点」
「出口」を視界にとらえながらも最後たどりつけなかったドラギ総裁が、クリスティーヌ・ラガルド次期総裁に残した置き土産は、マイナス金利深掘りなどのメニューがぎっしり詰まった「緩和パッケージ」だった。QUICKは9月の債券月次調査(回答は131人)で、9月ECB理事会の評価とともに、ドラギ総裁のこれまでの政策運営を100点満点で採点してもらった。
まず9月の政策変更については「妥当」が70%にのぼり、「やりすぎ」の25%を大きく上回った。一方で、マイナス金利の深掘りの効果は「小さい」(53%)、「ない」(33%)と評判はいまひとつだ。
気になるドラギ総裁の成績は、平均が70.3点、最頻値が80点。「よくできました」のハンコが押される市場の評価となりそうだ。やはり「欧州の信用不安による市場の混乱に対し、積極的な緩和で市場を沈静化させた」点が評価されたようだ。その一方で、「ECBの正常化が遅れ、任期満了前に予防的な包括緩和を強行したのは評価できない」との指摘もあった。回答の最高は100点満点の100点、最低は20点だった。
後を引き継ぐラガルド氏については、さらなるマイナス金利の深掘りに動くという見方のほうか、「ミッションは欧州各国に財政出動させること」などといった意見が出ていた。