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金利と為替のリターン/リスク(エマージング深層潮流)

エマージング深層潮流 Vol.3    クラウドクレジット運用部

新興国市場投資の心構えの3回目。海外の金利商品に投資する際の流れを簡単に説明するとともに、海外金利商品投資のリスクの所在とリスクの抑制方法をみてみたい。

まず、例として以下のケースを考えてみよう。
・今日10000円をZ国の最終利回り10%の1年物国債に投資し、1年後に円に戻す
・今日のZ国通貨、Zペソの為替レートは1Zペソ=100円、1年後の為替レートは1Zペソ=103円

実際の運用の流れは以下の通りだ。
今日、10000円をZ国通貨に交換する:10000円÷100円/Zペソ=100Zペソ
100Zペソを利回り10%で1年間運用する:元利合計は、100Zペソ+100Zペソ×10%=110Zペソ
1年後、110Zペソを円に交換する:110Zペソ×103円/Zペソ=11330円

このケースでは首尾よく運用が成功し、1年間の運用利回りは13.3%(11330円÷10000円-1)となった。

簡単な数式で表すと、運用利回り=(f2/f1)×(1+r)ー1となる。なお、f 1:スタート時点での為替レート、f 2:円に戻す時の為替レート、r:投資対象商品の利回りである。

トータルリターンの内訳を知る

それでは実際に各国の現地通貨建て1年物国債に円で投資した場合の例を見てみよう。下の表は毎月、1年物国債で運用した場合のデータを集計したものであり、データの取得期間は2001年1月から2019年9月である。

(各国中央銀行等のデータをもとにクラウドクレジット作成、以下の表とグラフも同じ)

平均リターンの「金利」とは国債の金利からのみ得られた利回りの平均値、「為替」とは各国通貨の対円為替レートの1年間騰落率の平均、「トータルリターン」とは現地通貨建て国債に円で運用した際の1年間の運用利回りである。またリスク(標準偏差)とは上記平均リターンとのブレ(リスク)を示すもので、1標準偏差で表し、その数値が大きいほどデータ取得期間の中でブレ(リスク)が大きかったことになり、小さければブレ(リスク)が小さかったことになる。

例えば、インドの場合、トータルリターンの平均リターンは9.59%、リスクは13.25%となっているが、金利部分の平均リターンは7.05%、リスクは1.55%、一方で為替部分の平均リターンは2.54%、リスクは13.27%となっている。これは何を示しているかと言うと、金利のブレは小さく比較的安定的に推移したが、為替のブレは大きく、激しく変動していたということである。他の新興市場高金利国も同じような傾向が見られる。新興市場高金利国の金利は高位で安定しているが、円に対する為替相場の変動幅は非常に大きいということである。

「等金額」や「最適化」で分散効果

次に、8カ国の現地通貨建て1年物国債に円から投資した場合の平均リターンとリスク(標準偏差)を示した。データ取得期間は2016年2月から2019年9月まで。各国の過去の運用パフォーマンスはまちまちである。

このデータをもとに、ポートフォリオを組んでみよう。8カ国を同じ金額で12.5%ずつ保有した場合、リターンは3.53%、リスク(標準偏差)は6.59%となった(等金額ポートフォリオ)。

ここで平均分散法を用いてポートフォリオを最適化してみる。平均分散法とはMPT(モダン・ポートフォリオ・セオリー/現代ポートフォリオ理論)の開祖の一人で1990年にノーベル経済学賞を受賞したハリー・マーコウィッツ教授が考案したポートフォリオ理論の一つである。

今回はリスク(標準偏差)を最小化することに最適化の目標を置いて、表にあるような組み入れ比率にした結果、リターンは7.00%、リスク(標準偏差)は4.10%となった(最適化ポートフォリオ)。

また、横軸にリスク(標準偏差)、縦軸にリターンをとった平面に各国をプロットしたのが下のグラフである。

このように最適化することにより、リスクを抑制し、リターン/リスク比率を向上させることができる可能性がある。ちなみにリターン/リスク比率は、等金額ポートフォリオは0.54である一方、最適化ポートフォリオは1.71と格段に向上している。

  • データなどは過去の実績であり、将来の運用成果を示唆・保証するものではないことをご留意ください。
  • クラウドクレジットでは、各投資家のリスク許容度に応じた最適なポートフォリオを提案する機能を開発中であり、将来的に顧客向けにリリースする予定です。

(月1回配信します)


クラウドクレジット株式会社 「日本の個人投資家と世界の信用市場をつなぐ」をコーポレートミッションとして掲げ、日本の個人投資家から集めた資金を海外の事業者に融資する貸付型クラウドファンディングを展開。新興国でのインフラ関連案件も多く、現地のマクロ・ミクロ経済動向などに詳しい。累計出資金額は約218億円、運用残高約127億円、ユーザー登録数3万9000人以上(2019年8月31日時点)


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