日経QUICKニュース(NQN)
外国為替証拠金取引(FX)が主力であるインヴァスト証券が開発した強化学習型の人工知能(AI)投資サービス「マイメイト」が、個人投資家の関心を集めている。まだ試作段階ではあるが、新型コロナウイルスの感染拡大で為替相場の動きが大きくなった3月以降、7割を超す利用者が投資リターンを得るのに成功したという。
■専用のエージェントを育成
マイメイトは「育てるFXトレードAI」として、インヴァスト証券が昨年夏に始めた。取引したい通貨や重視するテクニカル指標、ニュース、リスク許容度などをもとに、利用者専用のAIである「エージェント」を作る。エージェントは1日1回程度、売買サインをメールで通知しつつ、学習を繰り返して利用者が望む投資スタイルを身につけていく。現時点では「ドル・円」「ユーロ・ドル」「ポンド・ドル」の通貨ペアを対象としている。
3月は円の対ドル相場で月間の値幅が3年4カ月ぶりの大きさになるなど、新型コロナの感染拡大に伴って相場は揺れた。大きな損失を出した機関投資家は多いが、マイメイトで作ったAIは3月に8割超、4月も24日までに7割超の利用者が投資リターンを得た。
AIの売買サインをもとにドル・円で取引した福岡県在住の50代男性は3月以降、1割超のリターンを得た。「難しい相場でも対応力が高い」と話す。
マイメイトは、今夏にはAIを使った実際の取引を始める予定だ。試作段階ではセミプロとみられる投資家の利用が多いものの、FX取引の初心者も含む幅広い個人投資家の利用を見込んでいる。
<関連記事>
■AIが企業の「質」も評価する 融資業務のミライ、元日銀幹部が占う
■AI普及で相場の長期大変動は起きにくく 機械学習の第一人者が語る
■患者の表情から痛みを判定 進化する顔認識AI、大手と競うベンチャー