新型コロナウイルス感染拡大の影響で大荒れとなった2020年前半の株式相場。投資信託を運用する投資のプロたちも前例のない状況への対応にてんてこ舞いだった。個人投資家が注目するファンドは半年間で組み入れ銘柄をどう入れ替えたのか。月次レポートをもとに「ビフォーアフター」を検証した。
今回取り上げるのはレオス・キャピタルワークスが直販で取り扱う「ひふみワールド」(9C31119A)。日本を除く世界の株式に投資するファンドで、2019年10月に運用を始めた。地方銀行やネット証券などで販売する「ひふみワールド+」(9C31119C)と合わせると、6月末の純資産総額(残高)は760億円程度となっている。
■組み入れ銘柄数、100に増加
マザーファンドの20年6月末時点の組み入れ上位10銘柄を19年12月末時点と比べると、8銘柄が入れ替わっていた(図1)。組み入れ1位に浮上したのは、半年前に7位だったアイルランドのコンサルティングサービス会社アクセンチュア(ACN)だった。
銘柄数は83から100に増加した。20年2月末と3月末時点で20%超まで引き上げていた現金比率は、6月末時点で10%程度に落とした。これは設定後で最も少ない水準となる。
■「ソフトウエア・サービス」を増やす
業種別に見ると、「ソフトウエア・サービス」の組み入れ比率上昇が目立った(図2)。上位10銘柄では1位のアクセンチュア、5位の米半導体開発用デザインソフトウエア大手のケイデンス・デザイン・システムズ(CADE)、7位の米マイクロソフト(MSFT)が該当する。
6月末時点の6カ月リターンは0.17%のマイナスだが、「MSCIオールカントリー・ワールド指数(除く日本、配当込み、円換算ベース)」を上回っている(図3)。基準価額はコロナ禍の影響で3月24日に設定来安値をつけた後、6月末までに33.9%上昇した。7月に入って設定来高値を更新し、6カ月リターンは小幅のプラスになっている。
■中国内需企業への投資スタート
運用責任者の湯浅光裕氏は、6月に漢方薬やザーサイの製造・販売する中国内需企業などへの投資を始めたことを月次レポートで明らかにした。「米中対立の長期化で世界のサプライチェーン再構築が必要」と考え、米中対立の影響を受けにくい企業を中心にポートフォリオを組み立てているという。
運用本部経済調査室長の三宅一弘氏は、3月後半以降にV字回復した世界の株式相場について「(株価が堅調なグループには)ネット・デジタル関連や、バイオ・ヘルスケア関連など21世紀に入って台頭・飛躍する『21世紀型産業』が目立つ」と指摘した。(QUICK資産運用研究所=西本ゆき)