第3部 投信選びのツボ ⑤ 簡単!実力ファンドはこうして見極める(日本株投信編)
長期投資の対象とする投資信託を選ぶのは、実はそれほど難しくない。長期投資に不向きなタイプを消去法で除外したうえで運用成績上位のファンドを並べ、さらにその中から自分の関心をひくファンドを選び出せばいい。有力ファンドがひしめく日本株投信を対象に、投信選びを実践してみよう。
■選びがいがある日本株投信
一般の人が投信選びをする際に、不可欠の道具となるのが投信検索のサイトだ。いろいろなサイトがあるが、この連載では日経電子版(PC版)の「投資信託サーチ(詳細検索)」を使っていく。会員登録が不要で誰でも利用できるうえ、絞り込みをするときなどの使い勝手がいい。
日経電子版トップから「マーケット」→「投資信託」と進み、投資信託サーチの「詳細検索はこちら」をクリックすると検索ページにたどり着く。初めのうちは操作に戸惑うだろうが、慣れればどうということはないのでトライしてほしい。
今回、投信選びの対象とする日本株投信には運用成績がいいファンドが多い。投資対象が母国市場なので、国内の運用会社には地の利があるのかもしれない。特に中小型株で運用するファンドには、長期的に高いリターンを上げてきた実力ファンドが何本もある。日本の中小型株市場は非効率なマーケットで、銘柄の選別などファンドマネジャーが運用力を発揮する余地が大きいという見方がある。いずれにしても、ファンドの選びがいがある分野だ。
ただ、大型株と中小型株ではリスク水準が異なるので、両者を分けてファンド選びを進めたい。対象は上場投信(ETF)、DC・ラップ・SMA専用、ブルベア型などを除いた一般的な投信だ。
■消去法で「不向きな投信」を除く
最初の作業は、長期投資に向かないファンドを除外することだ。前回の記事で述べた「長期投資に不向きなファンド」に基づいて、①分配金を出す回数(決算回数)が年12回か6回②実質信託報酬が2.2%以上③リスク水準の指標であるQUICKファンドリスクが最高位の「5*」④通貨選択型やカバードコール型⑤設定後年数が3年未満――を除く。
これに加えて長期投信に適したファンドかどうかをみる指標の「QUICKファンドスコア」を足切り基準に使うと有効だ。このスコアは①リスク②リターン③下値抵抗力④コスト⑤分配金健全度の5項目で投信を総合評価し、10段階の数値が大きいほど同じ分類内で長期投資に向いた投信であることを示している。総合評価が5以下のファンドは何がしかの弱みを持つと考えられるため、これも除外する。
ここまでの過程で879本あった国内大型株ファンドは4分の1以下の208本に絞り込むことができた(6月末時点)。次は運用成績でふるいにかける番だ。日経電子版の投信サーチでは検索結果が純資産総額の大きい順に表示されるので、プルダウン・メニューで「運用実績」を選んでほしい。すると今度は5年リターン(年率)の順に並び替えられる。
表はこうして選んだ5年リターンの上位10本だ。これ以外にも実績のあるファンドはあるが、今回は初心者にもわかりやすいよう、この10本に絞って話を進めたい。運用期間が平均18年という古参ファンドが中心で、いずれもリターンは日経平均株価に連動するインデックス型(平均3%台半ば)を大きく上回っている。
この10本ならどれを選んでも大きな問題はないと思われるが、もう少し絞り込みたいならQUICKファンドスコアの「下値抵抗力」の項目が参考になる。長期保有するなら下げ相場に強い方が、下げ局面での精神的な苦痛が小さくて済む。同項目は日経電子版で個別投信を検索し、「運用実績」のタブをクリックすると参照できる。同項目を6以上として絞り込んだのがチャートで示した6本で、リスク(標準偏差)が相対的に低いファンドが浮上した。
ついでにいうと、基準価額の長期チャートも購入前にはチェックしてほしい。相場の下げ局面でどんな角度と速度で値下がりしたか、上昇局面で相場に追随できたか出遅れたかなど、そのファンドの特徴がイメージできる。6本の中では「グローバルイノベーション」の足元での戻りがやや鈍いのがわかる。
■運用方針に共感できるか
ここから先、どのファンドを選ぶかは投資する人の考え方や好み次第だ。せっかく保有するならファンドの運用方針に納得できたり、運用担当者の考え方に共感できたりするファンドを選んだ方が後悔はない。これらの情報を知るには目論見書や月次レポートを読むのが必須になる。
チャートの6本はどれもとがったファンドといえる。運用成績が群を抜く「ジャパン・オーナーズ株式オープン」は投資対象をオーナー企業に絞っている。昨年、運用担当者が代わって影響が懸念されたが、今のところ成績は順調だ。「新・国際優良日本株ファンド」は長期・集中投資が特色で、組み入れ銘柄数は18と極端に少ない。運用担当者による月次レポートは読みごたえがあり、直近ではグロース株優位の相場が続く背景を解説している。月次レポートが充実しているのは「ひふみ投信」も同様だ。
「ファンド メガ・テック」の組み入れ銘柄は7割超を情報・通信株と電機株が占めている。「情報エレクトロニクスファンド」は運用歴が36年超で、投資先は電機・精密の大型株が中心。「グローバルイノベーション」も6割が情報・通信株で、これら3ファンドは投資先の業種に偏りがある点は留意しておきたい。また、「ひふみ投信」と「グローバルイノベーション」は外国株にも投資しており、組み入れ銘柄のうち外国株が前者は15%、後者は20%程度を占めている。
投信選びの際は過去のリスクやリターンだけでなく、商品設計、運用方針、組み入れ銘柄、担当者の投資哲学など、できるだけ投資候補のファンドを多面的に点検してほしい。何を重視するかは人それぞれだが、総合的に最も魅力的だと感じるファンドが自分に向いた投信なのだと思う。
大型株と同じ方法で中小型株投信もスクリーニングし、5年リターンの上位10本を選んでみた。
大型株投信よりも高リターンのファンドが多く、改めて日本の中小型株市場が魅力的な投資対象だとわかる。ただし大型株に比べてリスク(標準偏差)は総じて高いので、実際に投資するかどうかは自身のリスク許容度に合わせて決める必要がある。
次回は外国株投信を対象に、長期保有に適したファンドを選んでみよう。(QUICK Money World=北澤千秋)