国内公募の追加型株式投資信託(ETF、ラップ・SMA専用を除く)を対象に8月の資金動向(26日時点)をまとめたところ、資金流入額(推計値)の上位には7月以降に設定されたESG(環境、社会、企業統治)関連の新規ファンドが目立った。
■ESG関連銘柄に資金流入
設定から解約を差し引いた資金流入超過額が最も大きかったのは、アセットマネジメントOneが7月20日に設定した「グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし)<愛称:未来の世界(ESG)>」で656億円。今年最大かつ歴代2位の当初設定額(3830億円)で運用を始めた後、8月も資金流入が続いた。同ファンドは世界の株式の中から競争優位性や成長性、ESGへの取り組みなどの評価で選定された企業に投資する。みずほ証券とみずほ銀行、みずほ信託銀行が販売した。
2位は、日興アセットマネジメントが7月31日に設定した「デジタル・トランスフォーメーション株式ファンド<愛称:ゼロ・コンタクト>」で600億円。コロナ禍で加速するデジタル・トランスフォーメーション(DX)関連企業の中から、特に今後の成長が期待されるゼロ・コンタクト・ビジネス(非接触型ビジネス)に絡む企業の株式に投資する。販売会社はSMBC日興証券。
■「ザ・サーキュラー」に合計836億円
資金流入の3位と4位にランクインしたのは、野村アセットマネジメントが8月24日に新規設定した「野村ブラックロック循環経済関連株投信<愛称:ザ・サーキュラー>」。米ドル売り・円買いの為替取引をする「Aコース」と、為替ヘッジしない「Bコース」の2コース合わせて836億円の資金が流れ込んだ。新興国を含む世界の株式の中から、廃棄物を出さず資源を再利用して循環させる「サーキュラーエコノミー(循環経済)」の恩恵を受けたり、その発展に貢献したりすると見込まれる企業の株式に投資する。野村証券が1社で販売した。
■運用好調な長寿ファンドに資金流入
そのほかの流入額上位には、アセットマネジメントOneが運用するバランス型の「投資のソムリエ」や、テクノロジーの発展で恩恵を受ける米国企業の株式に投資するゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントの「netWIN GSテクノロジー株式ファンド Bコース(為替ヘッジなし)」など、運用が好調な長寿ファンドがランクインした。
■「ひふみプラス」、年初来で1000億円超の流出
資金流出額が最も大きかったのは、前月に続きレオス・キャピタルワークスが運用する「ひふみプラス」。26日時点の推計値で243億円の流出超だった。月末時点でも流出額トップなら3カ月連続となる。26日時点の年初来リターンは、7.1%のプラスと堅調だが、今年に入ってからの資金流出額は1000億円を超えた。
2位は、三井住友トラスト・アセットマネジメントの「次世代通信関連 世界株式戦略ファンド<愛称:THE 5G>」で183億円。こちらも年初来リターンは、15.0%のプラスと好成績だが、資金流出が続いている。流出額の1位と2位は、6~8月まで3カ月続けて同じ顔ぶれとなっている。
(QUICK資産運用研究所=竹川睦)