2020年に新規設定された国内公募の株式投資信託を当初設定額でランキングしたところ、12月上旬の時点で上位10本のうち7本が海外株式で運用するタイプだった。特にESG(環境・社会・企業統治)やテクノロジー関連に資金が集まった。
■「未来の世界(ESG)」がトップ、歴代で2位
コロナショックの影響で年前半は新規設定が見送られ、資金の集まりも鈍かったが7月以降は回復に向かった。当初設定額のトップは、アセットマネジメントOneの「グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし)<愛称:未来の世界(ESG)>」(3830億円)で、歴代でも2番目の大きさとなった。世界の株式のうち、企業の競争優位性や成長力に加え、ESGへの取り組みも評価し銘柄を選定する。
7月20日の運用開始後も資金流入が続き、11月末の純資産総額(残高)は7796億円まで増えた。11月末時点の設定来リターンは12.58%と好成績を上げている。販売会社はみずほ証券、みずほ銀行、みずほ信託銀行の3社。
7位と9位の「野村ブラックロック循環経済関連株投信」もESG関連の投信だった。世界の株式のうち、持続可能な経済活動の発展と環境負荷軽減の両立を目指す循環経済モデル「サーキュラーエコノミー」に関わる企業に投資する。
■テクノロジー関連も資金集める
テクノロジー関連も上位に目立った。今春以降のコロナ禍で「非接触」や「テレワーク」といったテーマに注目が集まり、テクノロジー分野の成長期待が高まったことが一因とみられる。当初設定額で895億円を集めて2位だったのは、日興アセットマネジメントの「デジタル・トランスフォーメーション株式ファンド<愛称:ゼロ・コンタクト>」。世界のデジタルトランスフォーメーション(DX)関連企業のうち、飛躍的な成長が期待できる非接触型ビジネスを手掛ける企業に投資する。11月末時点の残高は3677億円。
4位の「GSフューチャー・テクノロジー・リーダーズ Bコース(為替ヘッジなし)<愛称:nextWIN>」は、11月末時点の設定来リターンが44%超。「将来のテクノロジー・リーダー」に投資するファンドで、米国への投資が過半を占めるが、ネットゲームなどを手掛けるシンガポールのシーや中国ネットサービスの騰訊控股(テンセント)などの株式も上位に組み入れている。
(QUICK資産運用研究所=望月瑞希、西田玲子)