これまで機関投資家が主流だったSDGs(持続可能な開発目標)・ESG(環境・社会・企業統治)投資に個人の資金が流入している。パフォーマンスの良さもあり、ESG・SDGs投信の新規設定も相次いでいる。ESG評価会社の対象、主要ESG指数において中小型株の組み入れが進んでいることから、今後は中小型企業への注目も高まりそうだ。
■日経平均株価を大きく上回る
個人投資家のSDGs・ESG投資が止まらない。国内公募の追加型株式投資信託(上場投資信託を除く)で、9月10日までの1カ月間で資金流入額が最も大きかったたのはアセマネOneの「グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし)<愛称:未来の世界(ESG)>。840億円の個人マネーが流入し、7月20日に運用を開始(当初設定額3830億円)してから2カ月弱で運用残高が5000億円を超えた。
SDGs・ESG投資信託はパフォーマンスも比較的良好だ。日本株でアクティブ(積極)運用するファンドの中には日経平均株価を大きく上回る成績を残している投資信託もある。代表例が大和アセットマネジメントが運用する、ESGに深く関わる着眼点を運用に取り込む「社会課題解決応援ファンド」だろう。日経平均株価が年初来安値(1万6552円83銭)を付けた3月19日以来、足元までの上昇率は80%を超える。中小型・新興株が運用ポートフォリオのおよそ9割を占める。
■中小型企業への注目高まる
8月に新規設定された投信の当初設定額の96%をESG・SDGs投信が占める。8月は22本が新規設定されうち設定額が大きかったのは、「野村ブラックロック循環経済関連株投信 Bコース(愛称:ザ・サーキュラー)」の450億円、米ドル売り・円買いの為替取引をする「Aコース」が330億円と、2本合計で780億円となった。8月の3位はいちよしアセットマネジメントの「いちよしSDGs中小型株ファンド」で38億円。当ファンドは大型株に比べ、SDGsに関する情報の開示や発信に乏しい中小型株に焦点を当て、ボトムアップ調査を通じて実際の活動と事業利益が結びついた銘柄を選定している。
「今後は、環境や社会の課題解決が経済成長のドライバーになるとされ、ESG評価会社の対象、主要ESG指数において中小型株の組み入れが進んでいることからも、社会課題の解決を担える中小型企業への注目が高まると考えられる」(国内運用会社アナリスト)との声も聞かれた。コロナ禍でも着実にESG投資のすそ野が広がってきたとも言える。中小型の株価も業績といった財務情報のみならずエネルギーの使用量や女性役員の数といった非財務情報の影響を受ける場面が迫っているのかもしれない。
(QUICK Market Eyes 川口究)
<金融用語>
SDGsとは
Sustainable Development Goals (持続可能な開発目標)の略称。17のゴールと169のターゲットから構成される世界共通の目標で、地球上の誰一人として取り残さない平和で豊かな社会の実現を目指す取り組みのこと。貧困や飢餓、福祉や教育、人権、環境、エネルギー、経済的不平等など国際社会の包括的な課題解決に向けて、すべての国連加盟国が行動を起こすことが求められている。2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に盛り込まれた。