自民党は9月14日午後開いた両院議員総会で、菅義偉官房長官を新総裁に選んだ。菅氏は16日に召集される臨時国会の首相指名選挙で、新首相にも選ばれる見通しだ。菅氏は安倍晋三政権での官房長官時代に円高をけん制する発言をしており、新首相となっても金融・資本市場の安定に配慮するとの見方が多い。菅氏の過去の主な発言を振り返る。
■為替関連
「極度の円高になっていたのを是正してデフレから脱却しようというのが私たちの経済政策の最優先(課題)だった」(13年5月、円相場が対ドルで1ドル=101円まで円安が進行した際)
「投機的な動きが継続することがないよう市場の動向を緊張感をもって注視し、必要なときにはしっかり対応していきたい」(16年6月、当時の為替相場で円高が進行した際)
「私の重要な危機管理の一つに為替がある。財務省、金融庁、日銀による3者会合を開かせている。日本企業が間違いなく国内で経済活動できるような環境をつくる」(16年12月、日本経済新聞朝刊「展望2017」のインタビューで)
「為替の安定は極めて重要で、必要なときは適切に対応する方針に変わりはない」(18年2月、円相場が対ドルで105円台まで上昇した際)
■株式関連
「株価は低いより高い方がいい。まさに客観的に安倍政権の掲げる経済政策に対しての期待感だ」(13年1月、日経平均株価が1万1000円台を回復し、約2年9カ月ぶりの高値を付けた際)
「日銀が新体制の下で発表した『量的・質的金融緩和』の対応を市場が高く評価した結果ではないか」(13年4月、日経平均株価の終値が1万3000円台を回復した際)
「政権発足2年で、よくここまできた。引き続きアベノミクス3本の矢を着実に進め、経済再生と財政再建の二兎(にと)を得たい」(15年4月、日経平均株価が一時2万円を上回った際)
「政府として歓迎したい」(17年9月、約3カ月ぶりに17年の年初来高値を更新した際)
「株価は経済の鏡。そして景気の先行きを占う先行指標とも言われる」(17年10月、日経平均株価の上昇が続いていることについての認識を問われた際)
「経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)は堅調だ。引き続き市場動向に注意しながら経済運営に万全を期す」(18年12月、東京株式市場で日経平均株価が2万円を下回った際)
■その他
「一般的に住宅ローン金利の低下をもたらすので、経済には好ましい影響を与える」「我が国の金融システムが極めて健全なことは間違いない」(16年2月、長期金利が初のマイナスになった際)
「企業の皆さんを支えるためには(現状の金融政策は)必要だと思っているが、将来的には地方の金融機関の数が多すぎるのではないかと思っている」(20年9月、日銀による大規模金融緩和を続けると地方金融機関の経営を圧迫するのではないかと問われた際)
「中小(企業)の再編を必要であればできるような形にしたい」(20年9月、日本経済新聞インタビューで)
「新型コロナウイルスによって明らかになったデジタル化やサプライチェーン(部品供給網)などの新たな目標について集中的な改革、必要な投資をおこない、再び力強く経済成長を実現したい」(20年9月、自民党総裁選の所見発表演説会で)
〔日経QUICKニュース(NQN)山田周吾〕