2020年度上期は新型コロナウイルス禍で株式市場、とりわけ米国のハイテク株が相場の上昇をけん引した。今の米国株式は債券の市場関係者からみても魅力的な投資先のようだ。QUICKが28日に発表したQUICK月次調査<債券>で、2020年度下期の魅力的な投資対象を聞いたころ、米国株式が断トツで1位になった。米国国債が2番目に多く、日本の株式が僅差で続いた。
毎月、調査している長期国債の利回り予想は前月調査より下振れした。10月末の新発10年国債利回り予想は0.013%で、今年年末の予想は0.019%となった。「国債増発後の入札をこなしてきたことで、当面は金利が上昇しにくい展開を予想」(投信投資顧問)や「株価の調整幅が大きくなると、10年債がマイナス圏に沈むなど、債券は全般に買われるだろう」(証券会社)といった声が上がった。
債券価格の変動要因として最も注目されているのは海外金利だった。3カ月前から注目度が上昇し、「債券需給」や「景気動向」を上回っている。「不透明感から米大統領選前には金利の低下圧力がかかりやすい」(銀行)など、11月3日に迫った米大統領選の影響による米金利の動きを注視する姿勢がみられた。
今月16日に発足したばかりの菅政権だが、市場関係者の注目は衆院解散・総選挙の時期に移りつつある。次の衆議院議員総選挙の時期を尋ねたところ、「20年12月~21年1月」が最多で、「20年10~11月」が2番目に多かった。来年9月の自民党総裁選や衆院総選挙を経て、来年11月時点で菅首相が留任している確率は70%(中央値)にのぼった。
調査は9月18~24日に実施。金融機関などの債券市場関係者122人が回答した。
※QUICKでは株式、債券、外為の市場関係者を対象に、景気や相場動向についての月次アンケートを実施しています。それぞれの調査結果の詳細は、QUICKの様々な金融情報端末・サービスで公表しています。