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「企業のロビー活動に屈した」—米SECに向く批判(レスポンシブル・インベスター)

※レスポンシブル・インベスターのロゴ

米証券取引委員会(SEC)は9月23日、米企業の年次株主総会での投資家による株主議案の提出および再提出を制限する決定を下した。この決定にアセットオーナー、アセットマネジャー、市民グループが強く抗議している。決定を受けて出された声明は、SECによる「あからさまな企業への迎合」であると批判し、新規制はサステナビリティおよび正義の問題に対する株主の行動を「故意に消去るものだ」と主張している。

■基準強化

従来は、投資家は2000ドル相当の米上場企業株式を1年間保有していれば議案提出が可能だった。SECの新規制の下では、2万5000ドル相当の株式を最低1年間継続保有しているか、2000ドル相当の株式を3年間継続保有することが求められる。 

さらにSECは、過去に議決が行われた株主議案の再提出基準も大幅に引き上げた。今後は、1回目の議決で5%、2回目で15%、3回目で25%の賛成票を獲得しなければ、再提出できない。また、少額保有の株主の保有株式を合算させて議案を提出することも認められなくなる。 

宗教系機関投資家グループのInterfaith Center on Corporate Responsibility (ICCR)は、SECは「株主議案は企業にとって単なる負担であり何の利益ももたらさないと認識している。過去50年間で積み重ねられた証拠はそれが誤りであると示している」と述べた。さらに、株主のエンゲージメントは、企業が潜在的なリスクを特定するための「早期警報システム」として欠かせないと指摘している。

■投資家の懸念

ICCRは、新規制の下ではタイソン・フーズ、フェイスブック、アルファベットなどによる「構造的な人種差別」に対して過去に提出された株主議案の多くが頓挫しかねないと警告している。

サステナビリティ投資に特化するブティック型運用会社Arjuna Capitalもこれに同調し、SECの決定は「現在、米国の黒人が強い危機感を抱いている現実の問題を解決するための手段として利用可能な株主議案プロセス」を閉ざすことにつながると述べている。Arjuna Capitalのマネージング・パートナーであるナターシャ・ラム(Natasha Lamb)氏は、「株主議案の場合、一般に初回の議決では賛成票の獲得率が低めだが、時間の経過とともに総意が支持に向かう傾向がある」としている。そして、新規制により株主総会で提出される株主議案件数は37%減少すると予想している。 

■反対票を投じる以外の選択肢が無くなる

今回のSECの決定に対しては、ビジネスラウンドテーブルや全米製造業協会(NAM)といった業界団体が「長年にわたり強力に推し進めてきたロビー活動」に屈したと指摘する声が多く上がっている。

コーポレートガバナンスの強化を促す米機関投資家評議会(CII: Council of Institutional Investors)のエイミー・ボーラス(Amy Borrus)エグゼクティブ・ディレクターは、「これにより株主議案の提出件数は減るとみられ、SECにこうした規制改訂を迫っていた業界団体の目標がまさに達成されたことになる」と述べている。 

「要するに、企業のCEOや取締役は環境、社会、ガバナンスの問題について後になってから株主に批判されたくないのだ」とも指摘する。

CIIによると、新規制を過去10年間の事例に遡って適用すると、独立取締役の設置や企業の政治・ロビー活動に関する情報開示を求める株主議案件数が大きく減少するという。

米投資家グループMajority Actionは、「今回の決定を受け、投資家が『自らの投資ポートフォリオや金融システム全体を脅かすような企業の行動に不満を示す』手段として、取締役会に対して反対票を投じる以外の選択肢はほぼなくなった」と述べている。

また、「SECは株主の議案提出権限を制限したが、こうした厳格な新規制によって長期投資家を消去ることはできないだろう」とも話している。

SECは議決権行使の手続きについても新たな規制を近く適用する方針で、株主の権利がさらに縮小されかねない。一方、米労働省が現在検討している規制案が成立すれば、管轄下の年金基金はサステナビリティに関する株主議案に投票できなくなる可能性がある。

※本稿は、レスポンシブル・インベスター(Responsible Investor)の掲載記事をQUICK ESG研究所が翻訳、編集したものです。同社は、ロンドンに拠点を置く、世界の機関投資家に向けた責任投資、ESG、サステナブル・ファイナンスを専門的に取り扱うニュースメディアです。

<金融用語>

サステナビリティとは

英語表記はsustainability(=持続可能性)。 主に、社会が将来にわたって持続的に成長・発展していくために、環境負荷の削減とともに、企業活動の経済的側面や社会的側面など調和の取れた活動が不可欠であるという考え方をさす。 また、2003年3月に金融庁は、中小・地域金融機関に対して、「リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラム」を公表し、中小・地域金融機関不良債権問題の解決に向けた中小企業金融の再生と持続可能性(サステナビリティー)の確保を発表した。

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