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スウェーデンの年金基金が250社から投資撤退(レスポンシブル・インベスター)

※レスポンシブル・インベスターのロゴ

スウェーデンの公的年金の一部を運用するAP2基金(運用資産総額390億ユーロ)が、2020年12月10日、グローバル社債および外国株式からなる運用ポートフォリオの保有残高を調整し、EUサステナブルファイナンス政策の一環で策定されたパリ協定整合ベンチマーク(PAB)の要件を上回る水準を達成したと公表した。

AP2のCEOを務めるエヴァ・ハルヴァ―ション(Eva Halvarsson)氏は、「同基金は2020年、グローバル社債および株式のカーボンフットプリントをそれぞれ75%と70%削減し、化石燃料関連企業の約250社から投資を引き揚げた」ことを明らかにした。

パリ協定整合ベンチマーク(PAB)では化石燃料関連事業からの収益が一定の水準を超える企業を投資除外として定めているが、同基金は「事実上エネルギーセクターから全面的にダイベストメントする結果になった」と記している。

ハルヴァ―ション氏は、「投資除外とした社債および株式の総額は約2,000億スウェーデンクローネ(145億ユーロ)に上り、ポートフォリオ全体の半分に相当する規模である。最終的には、その他のポートフォリオにおいてもPABに準拠することを目標にしている」と語る。

AP2基金は、保有残高の調整によって「リスク・リターン特性」は大きく変わらなかったこと、また2045年までに温室効果ガス排出量ネットゼロのポートフォリオに移行する方針も明らかにした。

欧州委員会(EC)は、パリ協定との整合性を謳ったグリーンインデックスに適用する規制基準の設定プロジェクトのなかで2種類の「気候ベンチマーク」を導入した。一つは、ベンチマークを構成する原資産が脱炭素化の軌道に沿う要件を定めた「気候移行ベンチマーク(CTB)」であり、もう一つは、より野心的な構成資産の選定を求める「パリ協定整合ベンチマーク(PAB)」である。

PABでは、ベンチマークの構成銘柄全体の炭素集約度を投資ユニバース対比で最低50%減らすことを求めている。一方、CTBの場合は炭素集約度の当初の削減率は最低30%と低めに設定されている。いずれのベンチマークも、1年ごとに削減する排出量を7%ずつ増やすよう求めている。

ユニバーシティ・カレッジ・ダブリンの研究者でEUの気候ベンチマークの諮問委員会メンバーを務めていたアンドレアス・ホフナー(Andreas Hoepner)氏は、今回のAP2基金の動きを「大きな一歩」として歓迎し、「(PABは)化石燃料関連企業の除外という野心的な道を進むと同時に、その他の社会的課題やサステナビリティ課題に対する責任も担っている。AP2基金の動きが世界中の他のアセットオーナーを刺激することを望んでいる」と話す。

当初、市場ではデータ検証や脱炭素化の進捗を追跡するしくみをめぐり懐疑的な見方があった。AP2基金の動きは、今後投資家の間でPAB/CTBに準じたインデックス商品の普及に弾みがつく可能性があることを示す初期の兆候といえよう。

現時点で、新たな規制基準に準拠していることを謳った暫定的インデックスを発表しているプロバイダーはSolactive、MSCI、S&P Dow Jones、Robecoなどごく少数にとどまっている。

12月23日には、気候ベンチマークの正式な設定とベンチマークプロバイダーに対する新たな情報開示要件を定めたEU規則が施行された。新規則の下では、サステナビリティの評価基準であることを謳ったベンチマークのプロバイダーに対し、主要構成銘柄のESGレーティングのほか、性別の多様性やサプライチェーンのデュー・ディリジェンスに関するパフォーマンスについても情報開示を求めている。

※本稿は、レスポンシブル・インベスター(Responsible Investor)の掲載記事をQUICK ESG研究所が翻訳、編集したものです。同社は、ロンドンに拠点を置く、世界の機関投資家に向けた責任投資、ESG、サステナブル・ファイナンスを専門的に取り扱うニュースメディアです。

<金融用語>

パリ協定とは

パリ協定とは、2020年以降の温室効果ガス排出削減等、温暖化対策を定めた国際協定。世界全体の平均気温の上昇を工業化以前に比べて2℃より十分に低く保つ(2度目標)とともに、1.5℃に抑える努力を追求する。2015年12月国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)で採択され、2016年11月発効した。これまでに147の国と地域が批准している。 気候変動は、国際社会、世界経済が直面する最重要課題の1つであり、従来から責任投資を実践する投資家を中心に、企業が対応すべきESG課題の最重要課題の1つとされてきた。パリ協定第3条には「温室効果ガスについて低排出で気候に対して強靭である発展に向かう方針に資金の流れを適合させる」とあり、投資家の動きを後押ししている。パリ協定の採択以降この協定を重視し、「SBT(Science Based Targets)」など、2度目標に沿った企業行動に言及する投資家も増えている。(QUICK ESG研究所)


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