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ドイツのDAX指数を解説 長期チャートや構成銘柄を紹介、ワイヤーカード事件で基準変更

(初回公開日2021年3月5日16:21)

【QUICK Money World 辰巳 華世】世界の株式市場の連動性が高まっている今、各国の株価指数の動向を把握することは株式投資をするうえで大切です。日経平均先物の夜間取引でも、海外株価指数の値動きに連動することが多々あります。今回は、欧州連合(EU)で最大の経済規模となるドイツのDAX指数について、概要や銘柄、最近の動向について解説します。

■DAX指数とは?――ドイツの主要銘柄の指数

DAX指数とは、ドイツのフランクフルト証券取引所に上場している代表的な40銘柄から算出した時価総額加重平均株価指数です。新聞などでは、ドイツ株式指数(DAX)などと表記されています。2021年9月にDAXはポルシェやプーマ、エアバスなど新たに10社追加し、採用銘柄数を40に広げました。それまでは30銘柄でした。採用銘柄数が増加したことで、DAXがカバーする業種などの幅が広がりました。

独政府が打ち出した証券市場振興策によりドイツの証券業界は近年、急速に発達しています。そのためDAX指数への関心が高まっています。また、ドイツの経済規模はEUで最大であり、世界的にみても大きいこともあり、DAX指数は注目されています。

そもそも株価指数とは、ある取引所や特定の銘柄郡の株価の動きを表すものです。ある時点を基準にして、その後の株価の増減を表しています。そのため、連続性をもって時系列で株価の動きを把握することができます。DAX指数は基準を1000として1988年より算出を開始しています。2021年9月の採用銘柄の追加は算出以来、初めての大きな見直しでした。

※DAX指数

世界の株式市場には各国を代表する株価指数があり、その株価指数をみることでその国の株式相場の状態を把握することができます。DAX指数は、英のFTSE100種総合株価指数や、仏のCAC40とともに、投資家の注目度が高い欧州の株価指数になります。

■DAXの構成銘柄について

DAXの構成銘柄は時価総額などの取引規模を基に四半期に一度見直されています。独企業といえば自動車を思い浮かべることが多いように、新車販売台数で世界2位(2020年)の独フォルクスワーゲン(VW)や高級車世界首位の独ダイムラー、独BMWなどドイツを代表する40銘柄が指数に含まれています。2021年9月にポルシェ、プーマ、エアバスの他、食材キット配送のハローフレッシュなど10社が新たに加わりました。DAX指数の40銘柄一覧は下記の通りです。

DAX構成銘柄

Covestro AG

adidas AG(アディダス)

Airbus SE(エアバス)

Allianz SE(アリアンツ)

BASF SE

Bayer AG(バイエル)

Bayerische Motoren Werke AG(BMW)

Brenntag Societas Europaea

Continental AG

Deutsche Boerse AG(ドイツ取引所)

Deutsche Bank Aktiengesellschaft(ドイツ銀行)

Delivery Hero SE

Deutsche Post AG

Deutsche Telekom AG

Daimler Truck Holding AG

Siemens Energy AG

E.ON SE

Fresenius Medical Care AG & Co. KGaA

Fresenius SE & Co. KGaA

HeidelbergCement AG

Henkel AG & Co. KGaA Pref

Hannover Rueck SE

Infineon Technologies AG

Linde plc

Mercedes-Benz Group AG(メルセデスベンツグループ)

Merck KGaA(メルク)

MTU Aero Engines AG

Munich Reinsurance Company

Porsche AG(ポルシェ)

Porsche Automobil Holding SE Pref

QIAGEN NV

RWE AG

SAP SE

Siemens Healthineers AG

Siemens AG(シーメンス)

Sartorius AG Pref

Symrise AG

Vonovia SE

Volkswagen AG Pref(フォルクスワーゲン)

Zalando SE

■DAXの取引方法とは

DAX指数は、株価指数なので他の指数と同様、株式のように直接売買することはできません。DAX指数を取引する場合は、先物取引などの金融派生商品で取引することになります。また、DAX指数に連動した投資信託を通じて取引することもできます。例えば、日興アセットマネジメントの「インデックスファンドDAX30」などがあります。

■DAX指数40社に――ワイヤーカード事件を受けて

ドイツ取引所は、2021年9月にDAX指数の公正銘柄数を30から40に増やし新たな枠組みで運用を開始しました。銘柄数の拡大は決済サービスのワイヤーカード社で不正会計問題を受けた改革でした。2018年に指数に採用された、決済サービスのワイヤーカード社で不正会計問題が発覚し、経営破綻した際、当時のDAX指数の規定だとワイヤーカードを指数から除外するのに約2カ月かかるなど指数を運用する上で問題がありました。

新しい規定では、DAX指数からの除外について、四半期報告書を期限から30日過ぎても開示できなければ、3カ月ごとの定期見直しを待たず除外できる仕組みを提案しています。DAX指数への新規採用では直近2期分のEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)が黒字であることを条件とし、対人地雷や生物化学兵器など武器取引等に関わる企業は対象外としています。

DAX指数は、2021年9月から対象銘柄を40銘柄に増やし、その他の新ルールも順次適用する予定です。

■まとめ

DAX指数は独を代表する株価指数です。国内の株価指数だけでなく、DAX指数をはじめとした世界市場の動向を確認することは株価の連動性が強まっていることを踏まえると重要です。QUICK Money Worldでもチャートの確認が可能なのでご利用ください。

 

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著者名

QUICK Money World 辰巳 華世

2003年にQUICKに入社後、15年間勤務。約5年にわたり日本経済新聞社、日経QUICKニュース社(NQN)にて記者職に就く。QUICK退社後、フリーランスライターとして2020年より「QUICK Money World」に寄稿。


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