アラベスクS-RayがWBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)のESG報告情報プラットフォーム「レポーティング・エクスチェンジ」の運営を引き継ぐことを発表したので、その背景を説明したい。
レポーティング・エクスチェンジの運営移行について
世界各国・地域のESGの情報開示に関する概要や要件のデータベースとして活用されてきたレポーティング・エクスチェンジは、これまでの運営主体をWBCSDからアラベスクS-Rayへ移行することを2021年5月6日に発表した。この移行は、WBCSDによる設計・開発力とアラベスクS-Rayの広範囲にわたるリサーチおよびテクノロジーを統合したESG分野におけるパートナーシップの一例である。
これは、持続可能な世界への移行が急がれる中、持続可能な資本市場を創出するためのコラボレーションで、長期的な戦略的パートナーシップである。企業は、現在のプラットフォームを基盤に、複雑な非財務関連の情報開示の現状を把握しながら、新たな規制やガイドラインの最新情報を入手でき、さらに情報開示を促進する新しいツール等のニュースを知ることもできるようになる。
レポーティング・エクスチェンジは現在、自主的および義務的な要件を含め世界的な情報開示内容を網羅することで、企業、投資家、そして広範なステークホルダーのニーズに対応している。これにより、データに基づいた持続可能な経営方針や資本配分、そしてマテリアリティを意識した企業価値の創造とそのインパクトを報告することが可能になっている。
アラベスクS-Rayの関わり
アラベスクS-Rayはレポーティング・エクスチェンジの運営に向けて、独自のリソース、サステナビリティ関連の専門知識、および最新のテクノロジーを提供していく。レポーティング・エクスチェンジのユーザーは、このような機能を今後も無料で利用できる。
WBCSDとアラベスクの目標は、ESG情報の開示要件や指標の検索機能等により、ESG情報開示の最新状況を容易に把握することができる無料のデータベースをアラベスクS-Rayが管理、運営、提供していくことである。
アラベスクS-Rayは、レポーティング・エクスチェンジ専任のチームとデータ・インテリジェンス・システムを通じてデータ更新プロセスの最適化に取り組み始めており、データの更新報告(企業単位、国単位等)がより迅速かつ合理化されることを目指している。 アラベスクS-Rayは、レポーティング・エクスチェンジにおいて今後もユーザーとリサーチ機関のネットワークを維持し、サポートしていく。
レポーティング・エクスチェンジをWBCSDから引き継ぐことを決めた理由
アラベスクS-Rayの経営戦略、リサーチ、テクノロジーのチームにまたがる同社の経営陣は、レポーティング・エクスチェンジが自主的および義務的な非財務情報の情報開示に関する要件や指針を金融・資本市場に広く知らしめることができる基盤であると考えている。 さらに、WBCSDとアラベスクS-Rayは世界のより持続可能な発展に向けて、複雑化する情報開示の状況を把握し、推進していくという共通の使命を持っている。
企業の非財務情報の開示は、現在、企業に最も求められている情報の一つであろう。ESG評価を行うアラベスクS-Rayは、企業のESGに関する開示情報を中心にスコアリングを日々行っている。企業にとって情報開示に必要な数値や内容が複雑化するほど、その開示意欲は減退してしまう。とくに非財務情報であるESG情報については、開示範囲が多岐にわたるため、企業の負担は増している。WBCSDとアラベスクS-Rayは、今後も、企業に対する非財務情報の開示要請は高まり続けることが考えられるため、非財務関連の情報開示の概要や要件を全世界的に網羅するデータベースの維持、管理、アップデートが必要であると判断し、今回のパートナーシップが実現した。