QUICKが30日に発表した8月のQUICK月次調査<債券>で、日本の実質国内総生産(GDP)が新型コロナウイルス禍前(2019年10〜12月期)の水準を回復する時期について聞いたところ、2022年との予想が67%(うち年前半が38%、後半が29%)で最も多かった。「2023年以降」との回答は21%で、21年との回答(12%)を上回った。「年内に日本経済がコロナ前水準まで回復する」との政府見通しに、市場は懐疑的なようだ。
調査では自民党総裁選や衆院選についても聞いた。次期自民党総裁は菅義偉首相が留任するとの予想が最も多い73%で、菅首相が続投した場合、衆院選での与党の獲得議席数は「大幅減少」するとの見方が57%で最も多かった。菅首相が留任したうえで与党が議席数を大きく減らすというシナリオが想定されているようだ。新しい総裁に代わった場合の議席数は「小幅減少」との回答が最多の58%だった。
債券市場参加者の新発10年物国債利回りの先行き見通しは、6カ月連続で低下した。9月末時点の水準予想は0.026%だった。一方、新発20年債利回りの1か月後、3か月後の水準予想は前回調査から上昇した。
最も注目している債券価格の変動要因として「海外金利」を挙げる声が58%と引き続き最多だったが、割合は前回調査から低下した。一方、「景気動向」を挙げる割合が13%に増え、4カ月ぶりに1割を超えた。
調査は8月24〜26日に実施。債券市場関係者124人が回答した。